環境NGOの気候ネットワークは6月25日、同NGOがみずほフィナンシャルグループに対して提出した、気候関連リスクおよびパリ協定の目標に整合したファイナンスを行うための計画を開示するよう求める株主提案について、当日行われた株主総会での議決権行使結果を発表した。賛成票は過半数を下回り否決されたが、日本初の気候変動株主提案が35%の賛成票を集めるという大きな結果となった。結果は、主要海外メディアも英語で多数報じている。
【参考】【日本】環境NGOの気候ネットワーク、みずほFGに気候変動株主提案提出。日本初(2020年3月18日)
今回の株主提案は、「当会社がパリ協定及び気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同していることに留意し、パリ協定の目標に沿った投資を行うための指標および目標を含む経営戦略を記載した計画を年次報告書にて開示する。」という条項を、定款に規定するよう求めるもの。日本の会社法では、株主が提案できるのは議決権を行使できる事項に限定されている。気候ネットワークによると、企業の定款に関する事項はこれに含まれ、定款変更の提案は最もよく用いられる株主提案の形となっているという。
今回の株主提案では、議決権行使助言世界大手のグラスルイスとISSが賛成推奨の立場を採った。賛成票を投じたことが判明しているのは、ノルウェーのノルデア・アセット・マネジメント、ストアブランド、KLP。また、事前情報では、デンマークのPKA、スウェーデンのAP7等も賛成する意向を示していた。
みずほフィナンシャルグループは、気候ネットワークの株主提案の後、4月15日に2030年までに25兆円のサステナブルファイナンスを実施すると発表。石炭火力発電所の新規建設を資金使途とする投融資は今後一切禁止することも宣言していた。しかし、同方針に対しても、気候ネットワークは、運用開始日以前に支援意思表明済みの案件とリプレース案件を継続するとしたことを批判。石炭火力発電所への与信残高削減目標を2050年ゼロといた点についても、「OECD諸国は2030年、世界全体で2040年に石炭火力全廃が求められる中では不十分」とコメントしていた。
【参考】【日本】みずほFG、メガバンク初の石炭火力新設投融資禁止表明。MUFG、SMFGとの比較含め解説(2020年4月15日)
みずほフィナンシャルグループは、今回の株主総会の中で、石炭火力発電所への与信残高削減目標を2050年から2040年に前倒し達成できるとみていることを公言した。その背景には、気候ネットワークの株主提案や声明発表の影響があったことが伺える。
みずほフィナンシャルグループは、気候変動に関する方針を発表した後の株主総会で、NGO提出の気候変動株主提案に3分の1を超える賛成票が入った。現状以上の方針を求めている株主が多いことがあらためて浮き彫りとなった形。日本でもNGOの影響力が高まってきている。
【参考】【国際】Climate Action 100+、2020年株主総会シーズンでの株主総会で賛成票伸ばす。シェブロンでは可決(2020年6月25日)
【参照ページ】【プレスリリース】みずほフィナンシャルグループの株主として 日本初の気候変動に関する株主提案を提出(2020年3月16日)
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