保険世界大手中国の中国平安保険(Ping An)は6月22日、同社の投資運用での活用のため、国際的な評価手法と人工知能(AI)を活用した独自のESG評価システムを開発したと発表した。中国企業のESG評価を積極的に進め、中国内でのESG投資を主導すると宣言した。
中国平安保険は、2019年8月に中国のアセットオーナーとして初めて国連責任投資原則(PRI)に署名。以後、中国でのESG投資推進の台風の目となっている。同社グループの運用資産総額(AUM)は約49兆円。
【参考】【中国】中国平安保険、アセットオーナーとして中国初のPRI署名。投資方針にESG投資を組み込み(2019年8月28日)
同社は今回、中国でのESG情報開示の遅れを指摘。過去数年間で開示は進んだが、開示項目と開示の質の点で大きく劣っているとの現状認識を伝えた。また、中国ではESG情報開示フレームワークが林立しており、機関投資家にとってESG評価を行いづらい状況にあると伝えた。加えて、新型コロナウイルス・パンデミックでも、ESG投資は強いレジリエンスを示し、投資家の間でますます拍車がかかっているとし、中国市場でのESG情報開示が必要との背景も伝えている。
今回開発した評価手法「CN-ESG」は、まずESG及びビジネスの4つの観点で、一般指標、産業マトリックス、パブリックオピニオンのデータを収集。一般指標では、香港証券取引所と上海証券取引所での開示義務化項目と、MSCIのESG格付とDJSIの評価項目を基に、13テーマ、134の義務的指標、260の追加的指標で構成。さらに、自然言語処理、機械学習、リモートセンシング技術での画像解析等の人工知能(AI)を活用し、人力評価でのばらつきを防止しするともに、迅速に評価に反映できるようにもした。
中国平安保険のESG投資では、「Value」「Control」「Tools」「Practice」の4つを柱としたマネジメント体系「4-in-1責任投資システム」を確立。Valueは責任投資方針の遵守、Controlはリスクマネジメントへの環境・社会リスクの統合、Toolsは投資意思決定ツールの構築、Practiceは全投資ポートフォリオでのESG原則の統合を定めている。
同社は今回、パンデミック下での中国株式インデックス「CSI300」のESG投資分析結果も表明。ESGフレンドリーな、コンピューター機器、電子機器、医療機器、環境エンジニアリング、医療、半導体等の産業と、ESGアンフレンドリーな、石炭採掘、石油化学、採掘サービス、石油採掘では、投資パフォーマンスやシャープレシオに著しい差が出たと発表した。
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