中国国有化学大手の中国化工集団(ケムチャイナ)は6月18日、グループ子会社のスイス農薬・種子大手シンジェンタ、グループ子会社のイスラエル農薬大手アダマ・アグリカルチュラル・ソリューションズ、中国国有化学の中国中化集団(シノケム)の農業関連事業部門の3者を統合し、「シンジェンタ・グループ」を設立すると発表した。シンジェンタのエリック・フライワルドCEOが、グループCEOに、ケムチャイナ傘下のイスラエル農薬Adamaのチェン・リヒテンシュタインCEOがCFOに就く。
シンジェンタは2016年2月、ケムチャイナとの買収契約に合意。規制上の課題が多くあったものの、2017年5月には買収が成立し、シンジェンタはケムチャイナの子会社となった。2018年には、ニューヨーク証券取引所とスイス証券取引所からの上場が廃止、ケムチャイナは、シンジェンタを2022年を目途に中国で上場させることを目標に掲げており、今回の発表はその一環。
またケムチャイナは、2011年にアダマ・アグリカルチュラル・ソリューションズ(当時の社名はマクテシム・アガン)の株式の60%を取得し子会社化。テルアビブ証券取引所での上場を廃止していた。
さらにケムチャイナは1月、同じく中国国有化学の中国中化集団(シノケム)との間で、農業関連事業を統合することも発表していた。
今回の発表のグループ再編とシノケム農業事業の吸収合併により、ケムチャイナの農薬・種子事業は、シンジェンタ・グループの下に、シンジェンタ・クロップ・プロテクション、シンジェンタ・シーズ、シンジェンタ・グループ・チャイナ、アダマ・アグリカルチュラル・ソリューションズの4中核会社体制へと移行する。シンジェンタ・グループ全体の従業員数は4.8万人。2019年売上は230億米ドル(約2.5兆円)。4つの中核会社の中では、シンジェンタ・クロップ・プロテクションの売上が最大で105億米ドル(約1.1兆円)、次いでシンジェンタ・グループ・チャイナの56.4億米ドル(約6億円)。
シンジェンタは、ケムチャイナ傘下に入った後も、企業買収を活発に展開してきた。2019年には、ウクライナのデジタルモニタリング企業Cropioを、それ以前にも農場管理ソフトウェア開発米FarmShotsやAgConnections、ブラジルのStrider等を買収してきた。また、農家と企業を繋ぐプラットフォーム提供インドのFarmlinkへの資金供与や、同社VCシンジェンタ・ベンチャーズを通じ、イスラエルの精密除草機製造Greeneye等スタートアップ支援も行ってきた。
【参照ページ】Syngenta restructures, rebrands, and relaunches after taking $5.6bn Chinese biz on board
【参照ページ】Company
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら