米司法省は6月17日、1996年通信品位法(CDA)第230条を見直し、ソーシャルメディアを運営する企業に対する法的保護を一部撤廃するよう米連邦議会に勧告した。米トランプ大統領は5月、自身がツイッターで投稿したコメントに対し、ツイッターが閲覧者にファクトチェックを促す警告を出したことで激怒し、SNS企業に対する規制強化を表明していた。
【参考】【アメリカ】トランプ大統領、SNS・検索事業者の投稿判定が言論の自由と反発。規制強化検討開始(2020年6月7日)
米国では現在、CDA第230条により、SNS上にユーザーが有害なコンテンツ(ポルノ、児童虐待、テロリズム、サイバーストーカー等)を投稿しても、SNS運営企業は法的責任を問われない。同法による企業の保護が、これまでインターネットの発展に大きく貢献してきたと言われている。
もし連邦議会が司法省の勧告に基づき、法改正を可決すると、ツイッター、フェイスブック、YouTube等のSNS運営企業は、有害コンテンツを理由に訴訟を起こさせるリスクが出てくる。そのため、企業はこれまで以上に、有害コンテンツを厳しく取り締まる必要が出てくる。
司法省は今回、10ヶ月をかけSNS上の有害コンテンツの調査を実施。CDA第230条は、当時は未熟だったインターネット産業の成長を助ける目的で作られたが、今では同産業のサービス・プロバイダーは巨大企業へと成長しており、CDA第230条による保護の妥当性には疑問が生じているとみている。また、CDA第230条が提供する法的保護は、企業の有害コンテンツを取り締まる動機を低下させてしまっていると指摘。インターネットを取り巻く環境は急速に変化しており、その変化に適用するためにCDA第230条の見直しが必要であるとした。
SNS企業の運営に関しては、共和党議員の間でも保守派の意見がSNS上で抑制・排除されていると不満を高めていた。また、民主党のジョー・バイデン大統領候補も、以前にCDA第230条を批判している。
今回の司法省による勧告に対し、SNS運営企業は、先月のトランプ大統領による大統領命令を支援するための政治策略だと批判。また、CDA第230条の変更は、企業の有害コンテンツを管理する能力を損なうことに繋がると主張している。
今回の勧告は昨年の7月に司法長官によって発表された、独占禁止法に基づくテクノロジー企業の見直しの一環として行われた。この勧告以外にもグーグル社による市場独占に関するケースが近日中に取り上げられる予定。
【参照ページ】Justice Department Issues Recommendations for Section 230 Reform
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