消費財世界大手英蘭ユニリーバは6月15日、気候変動対策、水資源管理、リジェネラティブ農業の推進で新たな目標を設定したと発表した。その一環で、気候変動対策と生態系の保護及び再生のための基金「気候自然基金」を創設し、10億ユーロ(約1,220億円)を投じることも明らかにした。
同社は今回、パリ協定の2050年目標を11年前倒し、2039年のカーボンニュートラル目標を宣言。目標の実現のためには、サプライヤーとの協働や、透明性・トレーサビリティの向上が重要だと強調した。各国政府に対しても、カーボンニュートラルに向けた野心的な目標設定を要請するとともに、カーボンプライシング導入等も求めた。
気候自然基金の資金使途は、今後10年以上の土地の回復、植林、炭素隔離、生態系保護、水質保全活動によるカーボンオフセット。2039年までに同社の全製品で、原材料栽培から店舗販売までのバリューチェーンでの二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を実現する。
同社は現在、同社ブランドのベン&ジェリーズ、セブンス・ジェネレーション、クノールで酪農からの二酸化炭素削減や、再生可能エネルギー推進、持続可能な農業の推進等を展開中だが、今回の発表はこれらに追加される形で目標とアクションを設定した。
森林や生態系の保全及び再生については、同社商品の89%がグローバル基準の持続可能な調達のもとで展開されているとし、2023年までにサプライチェーン上での森林破壊をゼロにする。その実現に向け、人工衛星でのモニタリングやブロックチェーンによるトラッキングを行う。また、NGOや政府とも協働し、生態系保護に取り組む。
さらに同社は、リジェネラティブ農業に切り替えるサプライヤー農家を支援することも表明。具体的には、土地所有権の確保、金融アクセスや金融インクルージョン、土壌修復等を支援する。これにより、所得向上と生態系再生の双方を追求する。加えて、国際的に業界最高水準レベルと評価されている同社の持続可能な農業規範を基に、サプライヤー向けのリジェネラティブ農業規範も策定した。自発的にリジェネラティブ農業に切り替える農家は、同規範を活用することで、高い水準のリジェネラティブ農業が営めるようになるという。
水消費量削減では、2030年までに同社工場周辺100カ所で地域コミュティのための水資源管理プログラムを実施する。ドウアクションでは、インドで実施していた水質及び水消費量管理プログラム「プラバート・プログラム」からの知見を活かし、水スチュワードシップ・モデルを構築する。さらにサプライヤーにも同様のプログラムも実施を促していく。また、世界銀行が運営する活動プラットフォーム「2030 Water Resources Group」にも参画し、水ストレスの高いインド、ブラジル、南アフリカ、ベトナム、インドネシアにおけるレジリエンスの向上を支援する。
また水系保全のため、2030年までに全製品含有物を生分解性のものに切り替える。現状ではまだ生分解性の代替物が開発されていない素材もあるが、サプライヤー等と連携し、新たなソリューションを探し出す。
【参照ページ】Unilever sets out new actions to fight climate change, and protect and regenerate nature, to preserve resources for future generations
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