国連人権理事会(UNHRC)から任命されたバスクト・トゥンジャク(Baskut Tuncak)特別報告者率いる専門がクループは6月9日、福島第1原子力発電所の原子炉汚染水の海洋放出に関し、新型コロナウイルス・パンデミックが収束し、適切な国際的な協議を実施するまでいかなる決定も先延ばしするよう日本政府に求める声明を発表した。
同グループは、現在パンデミックの影響により。日本政府が影響を受ける地域コミュニティや近隣諸国から十分なインプットを得る機会がなく、実施されている公式協議は全体的に不十分との見方を示した。またパンデミックを十分な検討ができないことの口実にすべきではないと言明。日本の漁業関係者への影響、日本国民および近隣諸国民の人権への影響がありうるとし、慎重に議論を進めるよう要求した。
また同グループは、パンデミックの影響で2020年東京オリンピックが延期になったことにより、日本政府が新たな意思決定プロセスを実行できるようになったと、信頼に足る筋から報告を受けていることにも留意した。当初の予定では、東京オリンピック終了までは、公式協議は実施しないと予定されており、また汚染水貯蔵タンクを増設したためまだ空きスペースがあることから、決定を急ぐ必要はないと断じた。
同グループは今回、国連先住民族の権利条約における「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC)の原則にも言及し、汚染水放水は同意が前提となるとの見方も示した。
同グループは、2018年にも原発事故批判者への対応や、社会的弱者を原発除染作業員に活用していることについても批判している。
【参考】【日本】国連人権特別報告者、日本政府の福島原発事故避難者の帰還政策停止を要請。被曝許容量も問題視(2018年10月29日)
【参照ページ】Fukushima: Japan must not ignore human rights obligations on nuclear waste disposal – UN experts
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