食品世界大手米カーギルは6月2日、同社のサステナビリティ調達の進捗状況を発表した。カカオ、パーム油、大豆、牛肉、養殖飼料、海運輸送の6項目について、設定しているアクションと達成状況を示した。特に同社は2030年までにサプライチェーンでの二酸化炭素排出を30%削減する目標を掲げており、農作物生産での土地利用変化観点でのアクションを多数設定している。
カカオでは、ガーナ、コートジボワール、ブラジル、カメルーン、インドネシアで持続可能なカカオ生産アクションを開始。バーコードを付けた袋でトレーサビリティを確保するプログラム「Cooperative Management Systems」では、すでに50%は農場まで把握できるようになった。GPSを活用した農場での森林破壊モニタリングは、全農家の72%まで把握できるようになった。面積にすると40万ha以上。児童労働のモニタリング及び救済を行うプログラム「CLMRS」では、コートジボワールを皮切りに、ガーナとカメルーンでも展開。58,800農家にアプローチできるようになった。直接的なサプライチェーンでのCLMRS展開率は7%から29%まで向上した。
パーム油では、2020年末までに調達したパーム油での森林破壊をゼロにする目標を掲げており、2019年の現状では「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ(NDPE)」方針が実行されているパーム油調達量の割合は93%、直接サプライヤーの数では58%まで上昇した。最終的には間接サプライヤーまで含め100%にする。サプライチェーンのトレーサビリティでは、搾油工場で93%、農場では48%まで辿れるようになった。またNDPEに関する苦情処理メカニズムに寄せられた苦情も公開し、透明性を高めた。
大豆では、ブラジルでの農場の位置情報把握を予定より半年前倒しで完了し、今後トレーサビリティを高める。大豆主要生産地カンポ・セラードに位置する4つの州の一つ、バイーア州では、現地最大の大豆農家協会とパートナーシップを締結し、直接的なエンゲージメントを開始した。ブラジルとパラグアイでは、SSS認証プログラムの導入も進めている。南米産の大豆については、半年に一回進捗状況を伝えるレポートも発行している。
牛肉では、同社の「BeefUp Sustainability」イニシアチブを通じ、Yield Lab Instituteが進める牛糞処理アイデア公募「Manure Challenge」のスポンサーとなっており、また肉牛と乳牛の交雑による二酸化炭素排出量削減を目指すテキサス工科大学とも連携している。
養殖飼料では、持続可能な養殖を実現するため、 Seafood Business for Ocean Stewardship(SeaBOS)とGlobal Salmon Initiative(GSI)とパートナーシップを締結し、養殖事業者とのエンゲージメントを開始。タイとベトナムでは、養殖事業者向け研修を実施し5,000人が参加した。これらの成果もあり、World Benchmarking Alliance(WBA)の2019年の「Seafood Stewardship Index」ランキングでは30社中6位だった。
海運では、ポセイドン原則に基づく「Global Maritime Forum」の組成を主導。船舶の省エネ性能も高め、二酸化炭素排出量を約80万t削減できた。2019年には数多くのイニシアチブを発足している。
【参照ページ】Cargill demonstrates significant progress against critical sustainability goals
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