米環境保護庁(EPA)は6月1日、エチレンオキシドに関する規制を含めた「有機化学物質製造に関する国家排出基準」(NESHAP)の改訂内容を最終決定したと発表した。これにより、有害な大気汚染物質の排出量を年間107t、エチレンオキシドの排出量を年間約0.76t削減することができると試算した。
NESHAP設定は、大気浄化法(CAA)に基づく措置。エチレンオキシドは、可燃性無色透明のガスで、繊維、プラスチック、洗剤、接着剤等の製品を製造する際に用いられている。また、加熱殺菌が出来ないプラスチック製の医療用器具を製造する際にも、滅菌用ガスの役割として広く適用されている。
EPAは2018年、エチレンオキシドの危険性を指摘。エチレンオキシドが多く放出されるコロラド州、ミシガン州、イリノイ州の工業地域での大気モニタリングの結果、エチレンオキシドが発がん性リスクがあると明らかにした。そのため、現在では、EPAが規制対象と定める187の有害大気汚染物質の1つに指定されている。
EPAは今回の改定で、エチレンオキシドによる人体への影響を、許容可能なレベルに引き下げるために、エチレンオキシドに関連する貯蔵タンクおよび設備等に関する追加要件を設定した。 またエチレンオキシドの排出を伴う焼却処分や、熱交換システム、および設備機器からの漏洩を制御するための要件等も盛り込んだ。今後は、食品医薬品局(FDA)や他の連邦政府機関と連携しながら、エチレンオキシドを使用した医療用器具製造の対処について、情報収集を進めていくと説明。進捗状況は随時公開していく。
一方、EPAは同日、水質浄化法(CWA)401条の改正が最終決定したことも公表している。同改正は、EPAの法定アセスメントの権限を大幅に縮小する内容となっており、特にエネルギー関連プロジェクトの環境規制を弱めることを企図していると考えられている。EPAは、同内容に関して、12万以上のパブリックコメントが集まり、すべてのコメントを慎重にレビューした上で、最終決定を行ったと説明した。
【参考】【アメリカ】EPA、水質浄化法を大幅規制緩和の意向。発電所やパイプライン建設を推進 (2019年8月15日)
【参照ページ】EPA Finalizes Amendments to the Miscellaneous Organic Chemical Manufacturing National Emission Standards for Hazardous Air Pollutants
【参照ページ】Ethylene Oxide - Updates
【参照ページ】EPA Issues Final Rule that Helps Ensure U.S. Energy Security and Limits Misuse of the Clean Water Act
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