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【国際】サステイナリティクス、トランジションボンドのSPO提供開始。業種毎に独自基準設定

 ESG評価世界大手欄サステイナリティクスは6月3日、トランジションボンドのセカンドパーティ・オピニオン(SPO)提供サービスを開始すると発表した。発行体での需要が高まっており、それに応えた形。

 気候変動の分野では、パリ協定の目標を達成するために、2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロ(カーボンニュートラル)にすることが求められており、それに向けたアクションに資金使途を限定するグリーンボンドが、注目されるようになった。一方、鉄鋼、セメント、アルミニウム、海運等の業種では、カーボンニュートラルをすぐに実現することは難易度が高く、この基準ではグリーンボンドを発行することができない。そこで、完全にカーボンニュートラルとの整合性はないが、二酸化炭素排出量削減につながるアクションに資金使途を限定した「トランジションボンド」を発行するという概念が、自然発生的に発行体とアレンジする証券会社、及び機関投資家の間で、生まれてきた。

 グリーンボンドについては、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)を基にSPOを提供される形となっているが、トランジションボンドについてはICMAは2019年11月に「気候トランジション・ファイナンス・ワーキンググループ」を設置したばかり。同ワーキンググループは、HSBC、JPモルガン・チェース、アクサ・インベストメント・マネージャーズがコーディネーターを務め、BNPパリバ、バンク・オブ・アメリカ、ING、ナティクシス、国際金融公社(IFC)、世界銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)、クレディ・アグリコル・CIB、欧州投資銀行(EIB)、北欧投資銀行(NIB)、ピムコ、チューリッヒ保険、イベルドローラが委員となっているが、まだ国際原則は誕生していない。

 そこでサステイナリティクスは、SPO提供にあたり、独自のフレームワークを策定し、それに基づいてSPOを提供することとした。同フレームワークでは、発行体単位と発行債券単位の双方で基準を設定。発行体単位では、トランジションへのコミットメント及び戦略を、債券単位では資金使途の適格性を判断する。トランジションの適格性基準では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)等の予測を基に、業種毎の基準を設ける。今回、天然ガスと鉄鋼の2つをまずリリースし、今後、海運、航空、セメント、アルミニウム等でもリリースしていく考え。

 トランジションボンドに対しては、二酸化炭素排出量削減につながるという肯定的な意見と、カーボンニュートラルではない目標を公認する形になるためあくまでグリーンボンドのみに拘るべきだとする否定的な意見がある。特に後者は、環境NGO等に多く、過去トランジションボンド発行でも、言い訳を与えたと批判されたこともある。しかしサステイナリティクスは今回、市場での需要に応えるべきと判断し、独自のSPO提供に踏み切った。

【参照ページ】Sustainalytics Launches Transition Bond Second-Party Opinion Service
【参照ページ】Working Group Climate Transition Finance

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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