欧州委員会は6月2日、ITプラットフォーマーに対する規制強化を目指す「デジタル・サービス法案」の作成に向け、幅広い関係者から意見を募るパブリックコメントの募集を開始した。欧州委員会は2020年末までに法案を正式に提出する考え。
デジタル・サービス法は、社会的インフラを形成しているITプラットフォームが公正で責任ある事業運営を遂行することを確保するため、欧州委員会がデジタル時代の要として位置づけている法律。EUでは、2000年に制定されたEコマース指令に替わる新たなルールとして期待されいる。
同法は、違法コンテンツに対するSNS事業者の責任を追及するため2017年に出されたEU通知、2018年の勧告に基づき、欧州委員会が具体的なルールを時間をかけて検討してきている。ウルズラ・フォン・デア・ライエン政権が発足した際にも所信表明の中に盛り込まれており、2月19日に発表されたEUのデジタル戦略「Shaping Europe's Digital Future」の中でも、同法の制定が盛り込まれていた。
今回のパブリックコメントでは主に2つのルール骨子について意見を求めるものとなっている。まず、ユーザー投稿コンテンツに対するITプラットフォーマーの責任について。従来は、EU単一市場に関するルールを遵守していれば、デジタルサービスの提供は原則自由であったが、プラットフォーマーの役割や責務を設定する必要があると判断。EU域内にデジタルサービスを提供している海外のプラットフォーマーも含め、ルールを適用する方向。
もう一つは、公正な競争条件(レベルプレイングフィールド:LPF)の確保。EUでの健全なイノベーションが促進されるよう、プラットフォーマーが自身に有利に作用する事業運営を取り締まる。その中には、ゲートキーパーとしての義務、非個人情報データへのアクセス開放義務等、プラットフォーマーの規模に応じて設定される新たなルールを盛り込む。
その他、今回のパブリックコメントでは、ギグワーカー等の新たな課題についても、意見を求めている。パブリックコメントの締切は9月8日。
また欧州委員会は、デジタル・サービス法案の準備ともに、競争法改革についても議論を進めており、同日、初期インパクト評価「Inception Impact Assessment」に対するコメント提出を6月30日まで、また一般的なパブリックコメントの募集を9月8日にまで実施することも発表した。
【参照ページ】Commission launches consultation to seek views on Digital Services Act package
【参照ページ】Antitrust: Commission consults stakeholders on a possible new competition tool
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