国際人権NGOのビジネスと人権資料センター(BHRRC)は台湾5月21日、ベトナムでのサプライヤーで不当解雇が発生したと報道された問題で、アディダスとNIKEに対して送った質問書の回答を公表した。
同事案は、靴製造大手Pou Chen(寶成工業)が、ベトナム法人で雇用していた中国人労働者150人が新型コロナウイルス・パンデミックで帰郷したまま解雇されたと報じられたことで、取引先であるアディダスとNIKIにも責任追及が及んだもの。150人は、中国で構築した生産ラインをベトナムの新工場に設置するために貢献した主張している。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが5月7日、報じた。
解雇された労働者グループによると、ベトナム新工場での建設でベトナムに赴任した中国人労働者は約1,000人。しかし数年前から会社側が解雇を始め、2019年には400人にまで減ったという。2020年に入り、パンデミックを理由に150人が新たに解雇され、労働者側は不当解雇と反発している。4月27日に一方的に解雇通知が届いた模様。解雇手当もベトナム及び中国の法定基準と比較しても著しく低いという。
台北時報の報道によると、同社は、パンデミックでベトナム工場のうち1ヶ所の閉鎖を命じられている。その後も地方当局からソーシャルディスタンシング命令への違反を指摘され2日間の操業停止も出されたことも報じられている。同じく台北時報によると、同社は、台湾と海外の双方で合計3,000人の給与カットと休業を検討している状況だという。
BHRRCからの質問に対し、アディダスは、今回の報道を受けPou Chenに情報提供を求めたことを説明。同社側の説明について、中国人労働者がベトナムに戻れず、ベトナム人労働者で業務の穴を埋めなければならないことについては合理性を認めた。また、解雇手当が著しく低いことについては、解雇書類を確認したが、低いことを示す証拠は見当たらなかったと回答した。NIKEは、報道内容には直接触れず、パンデミック後も同社はサプライヤーに対し労働者保護を求めていることや、業界団体とともに苦境への対策を進めていることを説明した。
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