サステナビリティ推進NGOの持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は5月7日、同団体としての2050年までのビジョンの改定作業「Vision 2050 Refresh」の一環で、2020年から2030年までのメガトレンドと破壊的変革を整理したレポートを発表した。
WBCSDは、1995年に国際的な経済団体として発足。現在では、世界中のグローバル企業約200社が加盟しており、売上総額は8.5兆米ドル(約920兆円)、総従業員数は19万人にもなる。日本からもトヨタ自動車、キヤノン、本田技研工業、デンソー、ブリヂストン、三菱商事、三菱ケミカルホールディングス、三菱重工業、横浜ゴム、東洋ゴム工業、小松製作所、野村総合研究所、富士通、横河電機、損保ジャパン等が加盟している。
WBCSDは2010年、当時18ヶ月間をかけ、2050年までのビジョンを策定していた。それから10年が経過し、2019年に2050年までのビジョンをアップデートする活動「Vision 2050 Refresh」を開始。シンクタンクVolansと加盟企業40社を中心に検討を進めている。今回のその活動から、2020年から2030年までのメガトレンドと、起こりうる可能性のある破壊的変革(ディスラプション)を整理したレポートを発表した。
メガトレンドでは、6分類で各分類2項目ずつのトレンドを挙げた。
- 人口:パワーシフト、アジアとアフリカの人口増加
- 環境:気候変動インパクトの悪化、イノベーション促進
- 経済:短期的な危機・長期的な失速、グローバリゼーションのピークとアジア勃興
- 技術:オートメーション、データ化
- 政治:二極化と過激主義の隆盛、地政学的不安定性
- 文化:ポスト物質主義、文化戦争の先鋭化
起こりうる可能性のある破壊的変革では、潜在的な巨大リスクとして10個を挙げた。
- 新型コロナウイルス・パンデミックによる金融危機
- 世界的なパンデミック
- 大戦争
- 経済のシンギュラリティ
- テックラッシュ(巨大なテクノロジー企業への反発)
- 民衆暴動による政治体制の変化
- 気候変動によるミンスキー・モーメント(過剰な投機後に突然訪れる危機)
- エネルギー転換
- バイオ技術ブーム
- グローバル・グリーンディール
WBCSDは今回のメガトレンドと破壊的イノベーションについての背景を解説する別冊レポートも発行。加えて、新型コロナウイルス・パンデミックによる影響に特化したレポートも発行した。パンデミックのレポートでは、パンデミックで明らかになったリスクとして、経済成長への依存、国家間の格差、国際協調規範の脆弱さ、ヘルスケア部門に対する投資不足、ビジネスと短期利益追求と効率性重視の欠陥を挙げた。格差を是正する社会に向けた経済復興が重要になるとの見方を示した。
[2020年9月8日追記]
9月4日に双方のレポートの日本語版も発行されました。
【参照ページ】WBCSD releases insights into macrotrends and disruptions impacting businesses over the next decade
【レポート】Macrotrends & Disruptions shaping 2020-2030 (Vision 2050 issue brief)
【スライド】Macrotrends & Disruptions shaping 2020-2030 (Vision 2050 issue brief)
【レポート】The 2020-2030 Operating Environment
【レポート】The consequences of COVID-19 on the decade ahead (Vision 2050 Issue Brief)
【スライド】The consequences of COVID-19 for the decade ahead
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