欧州委員会は5月20日、「2030年生物多様性戦略」を採択した。2030年までに陸域と海域の双方で面積30%以上を保護区化する。今後、欧州議会とEU理事会での支持表明手続きに入る。
今回の戦略は、2019年11月に採択した「欧州グリーンディール」政策に基づくもの。欧州委員会は今回、生物多様性を高める意義について、気候変動緩和・適応、生態系サービスによる経済便益、紛争予防、食料供給のレジリエンス、疾病予防、影響を受けやすい低所得者のダメージを緩和する格差是正、後世への豊かな生活を挙げ、意義が大きいことを全面に打ち出した。
【参考】【戦略】EU欧州委が定めた「欧州グリーンディール政策」の内容。〜9つの政策骨子を詳細解説〜(2019年12月12日)
生物多様性保護の高めの保護区設定では、国連生物多様性条約の締約国会議でも2010年から2020年までの「愛知目標」の中で、2020年までに陸上と内陸水域で17%、沿岸域及び海域で10%を保護区にすることを国際目標としてい掲げていた。2021年に中国・昆明で開催されている第15回締約国会議でも2030年までの新目標で陸域と海域の双方で30%以上を保護区化するとの内容を盛り込もうことが検討されている。今回のEU戦略はそれを先取りした形。
今回、欧州委員会は、生物多様性保護に向け毎年200億ユーロ(約2.3兆円)の予算を組むことを表明。劣化した生物多様性を再生するため、2030年の目標として他にも、30億本の植林、殺虫剤使用の半減、河川の自然堤防化を25,000km以上で実施、オーガニック農法の促進、送粉者個体数の回復を掲げた。
【参照ページ】Reinforcing Europe's resilience: halting biodiversity loss and building a healthy and sustainable food system
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