コンサルティング世界大手米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は5月7日、新型コロナウイルス・パンデミックでの米国の機関投資家の反応を調査した結果の第4弾を発表した。機関投資家は、新型コロナウイルス・パンデミック下でも、長期的な展望で競争力を高める戦略や投資を求めたところが95%と、大多数を占めていることがわかった。
BCGは3月から米国の機関投資家動向の追跡調査をしている。第1回は3月20日から22日、第2回は4月3日から4月5日、第3回は4月17日から19日、第4回は5月1日から5月3日まで実施された。各N数は150。一貫して回答を得ている機関投資家はそのうち70%。
パンデミックによる経済影響が収束するタイミングでは、回答のばらつきが多かった。第2四半期が10%、第3四半期が25%、第4四半期が23%、2021年第1四半期が15%、2021年第2四半期が9%、2021年第3四半期が7%、それ以降が11%。調査の回を得る毎に、収束時期の見通しが後ろ倒しになってきている。また米国経済の回復の勢いでは、V字回復が9%、U字回復が37%、L字回復が25%、W字回復が25%。V字回復が厳しいというのが大勢の見方だ。
経営陣に最も求めるものでは、「透明性の高く誠実なコミュニケーション」が18%、「長期的な戦略思考と投資」が13%、「流動性」が8%、「適応力・アジリティ・柔軟性」が7%、雇用維持が7%と多かった。話題にのぼっているサプライチェーンのローカル化は2%だった。
財務に比較的余裕のある企業に関する質問では、EPS見通しを引き下げたとしても、価値向上や将来成長性、回復期の好発進等を重視すべきとした回答が95%と大多数を占めた。一方、同様にEPS見通しを引き下げたとしても、ESGアジェンダを遂行すべきかとした点については、「強く同意」が14%、「同意」が34%と約半数だった。このことから、長期的成長性につながるESGアクションについては賛成しつつも、成長性につながらないESGアクションまで含めると、賛成の声が弱まることがわかる。長期的な企業成長への投資よりも短期的な利益率維持を求めたのは32%だった。
(出所)BCG
また、自社株買いの積極的実施については反対が64%。他の支出の犠牲にいても配当を維持すべきかについては反対が71%だった。
【参照ページ】The COVID-19 Investor Pulse Check Series
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