フィリピン中央銀行は4月29日、同国の全銀行に対し、サステナビリティ原則を策定し、環境・社会リスクマネジメント・システム(ESRMS)の導入を義務化した。環境・社会リスクが金融システムの不安定化につながると指摘した。
今回のルールは、3月19日に同行の金融委員会が決議したサスティナブルファイナンス・ポリシー・フレームワークに基づく公式な通知の形式で発布された。環境・社会リスクの中でも、特に気候変動リスクに言及。国際的に金融当局の中で気候変動リスク対策への検討が進む中、フィリピンで当局が素早く対策を導入した形。
今回の通知は、全銀行の取締役会と経営陣、コンプライアンス・内部監査部門に対し、具体的なアクションを義務化している。取締役会に対しては、既存のコーポレート・ガバナンスやリスクマネジメントと同じレベルで環境・社会リスクに対応するためのサステナビリティ原則の策定、執行の意思決定の中で環境・社会リスクを考慮する組織文化の醸成、環境・社会リスクマネジメント・システム(ESRMS)の承認、株主・顧客等のステークホルダーとの対話の確保、役員・従業員の報酬評価制度へのサステナビリティの組み込み等を義務付けた。
経営陣に対しては、策定したポリシーの定期的な遂行度評価、環境・社会リスクに対する総合的なリスクマネジメントの実施、定期的に環境・社会リスクエクスポージャーを取締役会に報告等を義務付けた。環境・社会リスクマネジメント・システム(ESRMS)についての詳細についても規定した。
コンプライアンス・内部監査部門に対しては、コンプライアンス部門に対しては策定したポリシーの遵守度の評価、内部監査部門に対しては自社のポリシーが国際的な基準に合致しているかのチェックを義務付けた。
その上で、アニュアルレポートの中で、環境・社会リスクに関するポリシー、体制、リスク・エクスポージャー、リスク情報の情報開示も義務付けた。
【参照ページ】Circular 1085
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