国連責任投資原則(PRI)は5月1日、新型コロナウイルス・パンデミック下における投資の中に人権の「S」要素を中心に据えるべきという考えを発表した。投資家の長期思考において、新型コロナウイルス・パンデミックでは、立場の弱い人々で経済的ダメージが重いことを伝え、人間中心でのインパクトを考慮するよう求めた。
今回発表したブログでは、特に「ギグワーカー」「ゼロ時間契約」という労働保護が行き届きにくい層への影響に注視するよう求めた。ギグワーカーとは、デリバリーサービスの配達スタッフ等、オンコールで仕事が発生するタイプのフリーランス契約者。ゼロ時間契約は、特に英国で使われる用語で、労働契約はしているものの仕事がない自宅待機中の給与は発生しない店舗販売員などを指す。
またサプライチェーン上の労働者にも言及した。特にアパレルブランド企業が突然発注をキャンセルしたり支払滞納する行為は、人々に大きな悪影響を及ぼすと指摘した。
その上で、企業に対し、事業活動が「平時」ではないことを認識した上で、事業が与える悪影響を理解し、人間の尊厳を意思決定の核に据えるよう求めた。企業の影響力はグローバル化に伴って巨大化しており、新型コロナウイルス・パンデミック対策では、政府の政策だけでなく、企業のアクションも鍵を握るとの考えも見せた。
投資家に対しては、金融セクターが果たすべき役割を認識し、人権尊重の責任を果たすことが重要と提唱した。
PRIは今後、年末にかけ、ESG投資における人権の考え方のガイダンスを発行し、署名機関の年次報告の中でも人権の概念を盛り込む検討を進めていく考え。
【参照ページ】A shield against COVID-19: embedding human rights in investment
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