中国石炭採掘大手・寧夏宝豊能源集団(Baofeng Energy)は4月中旬、世界最大級の二酸化炭素フリー水素製造プラントを寧夏回族自治区に建設するプロジェクトを発表した。年間の水素製造量は1.6億m3を計画。太陽光発電で水を電気分解し水素を生成する。プラントは2020年中に完成し、2021年に営業運転を開始する。
同社の計画では、設備容量100MWの太陽光発電パネルを2ヶ所に建設し発電。その電気で水を電気分解し、年間で水素を1.6億m3、酸素を0.8億m3生産するという。総工費は14億人民元(約200億円)。これにより年間での石炭消費量を25.4万t削減でき、二酸化炭素排出量を年間で44.5万t削減できるという。売上は年間6億人民元(約90億円)、年間利益は1.1億人民元(約17億円)を見込む。太陽光発電パネル設置場所には土壌にクコとムラサキウマゴヤシを植え、土壌保全と農業活性化にも繋げるという。
今回のプロジェクトでは、同省の銀川市にガソリン・ガス・スタンド2ヶ所に、日量1tの水素を供給できる水素ステーションを建設。同市の燃料電池バス事業とも連携する考え。また、メタノールに水素を化合させてオレフィンを生成することも計画。電気分解で発生した酸素を活用することで、従来の酸素生産工程も縮小できるという。
日本でも、千代田化工建設、三菱商事、三井物産、日本郵船の4社を中心に構成する「次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)」が2018年に発表した水素製造プロジェクトは、年間240万m3の生産能力。ブルネイで水素化し、「有機ケミカルハイドライド法」で日本に運び、川崎市臨海部の脱水素プラントで水素に戻す。4月24日に脱水素プラントが運転を開始した。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が支援している。ブルネイでの水素化では、天然ガスの液化プラントで発生する未利用のガスを活用。炭素回収・貯蔵(CCS)設備はまだ整備されておらず、CO2フリー水素にはなっていない。
【参考】【日本】政府、「水素基本戦略」決定。褐炭をCCSでCO2フリー化する水素製造技術が柱か(2018年1月4日)
【参照ページ】宁夏宝丰能源太阳能电解制氢储能及综合应用示范项目开工
【参照ページ】【世界初の国際間水素輸送】水素サプライチェーンが環となり繋がりました
【参照ページ】千代田の水素供給事業
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