世界気象機関(WMO)は4月9日、2020年の春季に北極圏のオゾン層が観測史上最も薄くなったと発表した。但し、1989年に発効したオゾン層破壊物質を規制するモントリオール議定書の成果でオゾン層は回復傾向にあるという楽観的な予測も示した。
今期のオゾン層減少の要因について、WMOは冬に極循環の規模が大きかったことによるものと説明している。WMOによると、オゾン層は気温が減少すると層が薄くなる傾向にあるという。今期は、北極や南極で大気が循環する「極循環」が、北極圏で規模が大きくなり、北極圏で冷たい大気が降下する量が多くなったため、北極圏の温度が下がったという見方を示した。通常、北極圏は、気温が下がりやすい南極圏ほどは気温が下がらないことが多いという。
オゾン層が過去最も薄くなったのは2011年で、今回それを上回る規模となった。そのため今年の北極近郊では紫外線への注意が必要だという。WMOは、オゾン層の量の変動は、年により大きく異るため、今後も大きく減少する可能性はあると言及した。
長期的な傾向としては、WMOと国連環境計画(UNEP)の科学的調査によると、2000年以降、オゾン層の量は1%から3%増加する傾向にあり、北極圏では2035年までに、南極圏でも2060年までに回復するという。WMOは、モントリオール議定書がなければ、オゾン層破壊は一層進行していたと、条約の効果が大きかったという考えを明らかにした。
【参照ページ】Arctic ozone depletion tracks at record levels
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら