国連世界食糧計画(WFP)、国連食糧農業機関(FAO)、国連児童基金(UNICEF)、国連人道問題調整事務所(OCHA)、EU、米国際開発庁(USAID)は4月21日、食糧危機と飢餓に関する年次報告書「The Global Report on Food Crises 2020」を発表した。
同報告書は、WFP、FAO、EUの3機関で運営するネットワーク組織「Global Network Against Food Crises」が製作したもの。また製作には、EUとUSAIDが資金拠出し運営するネットワーク組織「Food Security Information Network(FSIN)」も協力。その他、数多くの開発援助機関からもコンセンサスを取り付けた上で、発表された。
同報告書によると、2019年の飢餓人口は1.35億人で、過去4年間で最も多い数値となった。飢餓人口が多い順に、イエメン、コンゴ民主共和国、アフガニスタン、ベネズエラ、エチオピア、南スーダン、シリア、スーダン、ナイジェリア、ハイチ。飢餓発生国は全部で55ヶ国で、衰弱している子供も世界全体で1,700万人いる。飢餓の一歩手前の栄養不足状態の人も他に1.83億人いる。
飢餓の原因では、22ヶ国7,000万人が紛争や治安によるもの。異常気象でも25ヶ国3,400万人おり、気候変動の影響も出ている。経済的なものは8ヶ国2,400万人。
2020年の見通しでは、すでに発生している飢餓要因に加え、新型コロナウイルスとサバクトビバッタ蝗害による新たな課題が出てきており、さらに悪化するとの警戒感が強まっている。
同日開催されたG20緊急農相会合の場でも、WFP、FAO、世界銀行、国際農業開発基金(IFAD)の4機関は、共同声明を発表。新型コロナウイルスにより食料安全保障と栄養に多大な悪影響が及ぶと警鐘を鳴らし、国際的な協調を訴えかけた。特に食糧の輸出規制をやめるよう呼びかけた。FAOの屈冬玉・事務局長は、長期的なゴールに向けた政策フレームワークが必要と強調し、短期志向の政策に対する自制を求めた。
国際環境NGOのマイティ・アースも同日、新型コロナウイルス・パンデミックでカカオ農家の所得が大幅に減少したことにより、健康とウェルビーングに甚大な懸念があると指摘。不要不急の農場訪問、農家コミュニティでの医療情報の伝達支援、サプライチェーンを通じた農家支援、緊急支援基金の設立等を求めた。
【参照ページ】Global Report on Food Crises reveals scope of food crises as COVID-19 poses new risks to vulnerable countries
【参照ページ】Key takeaways of the Global Network Against Food Crises on Preventing a food catastrophe during the COVID-19 pandemic
【参照ページ】Joint Statement on COVID-19 Impacts on Food Security and Nutrition
【参照ページ】FAO urges at G20 meeting protection of food supply chains amid COVID-19 threat
【参照ページ】Mighty Earth COVID-19 response for Cocoa Farmers
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