世界銀行は4月17日、2017年に発行したパンデミック債が、当初設定されていた発動条件を満たしたと発表した。これにより、パンデミック債を購入した投資家は、償還前の残金の償還権利を失い、残金は発展途上国政府を支援する「パンデミック緊急ファシリティ(PEF:Pandemic Emergency Financing Facility)」に送られることとなった。
【参考】【国際】世界銀行、パンデミック緊急ファシリティ(PEF)用に債券とデリバティブで資金調達(2017年7月23日)
【参考】【国際】新型コロナウイルスで、世銀のパンデミック債クラスBの価格が急落。条件発動近い(2020年2月28日)
パンデミック債は、2013年から2016年にアフリカで発生し、11,300人以上が死亡したエボラ出血熱大流行により、将来の備えとして設けられたスキーム。エボラ出血熱は2018年にも流行し死者が2,000人に達したが、その際には発動しなかった。そのため、今回始めての発動となる。
設定されていた発動条件は、コロナウイルスでは、規模、感染確認率、スピード、感染伸び率の4項目で設定されていた。規模は、新規発症者数が250人以上、IDA及び国際復興開発銀行(IBRD)での累計感染死者者数が250人以上、大規模感染から12週間以上経過。感染確認率は20%以上。スピードは、20人以上の死者を出す状態が複数国で発生。感染伸び率では、IDA及びIBRDの対象国で指数関数的に感染が広がっていることを第三者評価機関(AIR Worldwide)が確認。今回、最後に残っていたAIR Worldwideの「指数関数的感染拡大」を認定のレポートを同社が発行したことで、発動が決まった。
PEFに送られる額は、1億9,584万米ドル(約210億円)だが、4月24日に最終確定する。今後、PEFを通じた支援国と支援額の調整に入る。調整は、世界銀行に設置された委員会で実施。現在の委員は、オーストラリア、ドイツ、日本の各政府と、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、世界銀行、及び国際開発協会(IDA)の支援対象となっている後進国2ヶ国。現在、後進国枠ではハイチとリベリアが委員となっている。
【参照ページ】Fact Sheet: Pandemic Emergency Financing Facility
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