日本を代表するトヨタ自動車、ファーストリテイリング、日本電産の各経営トップは4月、長期思考で新型コロナウイルス・パンデミックによる苦境を乗り切る考えを示した。
トヨタ自動車の豊田章男社長は4月10日、日本自動車工業会(JAMA)会長の立場でスピーチし、雇用と技術を守り抜く強い姿勢を示した。スピーチの中では「全世界的に車が売れない日々が続き、稼働を止めざるを得ない工場も出てきました。もし、これが続いてしまえば、経営が立ち行かなくなる仲間も出てくるでしょう。しかし、その中にも未来に向けて絶対に失ってはいけない要素技術やどんな機械にも真似できない技能を持った人材が存在しています」とし、業界全体で雇用と技術を維持することを強調した。また回復期に向け「1番の牽引役になるべく準備」するとした。
実際にトヨタ自動車は4月7日、テレワークを進めながら、医療支援と回復期に向けた準備を同時に進める戦略を発表した。生産現場では、通常の生産ライン稼働時には実施困難となる老朽設備の更新、生産設備の点検、職場環境の向上や、今後の競争力強化につながる改善など、各社において将来に向けて取り組むべき改善活動を、生産停止や縮小によって生まれた時間を活用し、積極的に進めている。
【参考】【国際】トヨタ、新型コロナで支援・医療機器生産と企業改革を同時並行展開。コロナ後見据え(2020年4月12日)
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は4月9日、決算報告の場で「ファーストリテイリング今後の展望」というプレゼンテーションを披露。「社会全体、地球環境の限界が見えた10年」と現時点の社会状況を指摘した上で、「社会からより必要とされる会社に変わる」と言及。「自分たちは何のために事業をやっているのか、世の中にどんな価値を提供し、誰のために役に立つのか、更には、一人一人の個人は何のために仕事をしているのか」を自らに問いかけていくと、過去からの変化の姿勢を示した。
日本電産の永守重信会長兼CEOは4月20日、日本経済新聞のインタビューの中で、「50年、自分の手法がすべて正しいと思って経営してきた。だが今回、それは間違っていた。テレワークも信用してなかった。収益が一時的に落ちても、社員が幸せを感じる働きやすい会社にする。そのために50くらい変えるべき項目を考えた。反省する時間をもらっていると思い、日本の経営者も自身の手法を考えてほしい」と発言。一時的な収益ではなく、長期的なサステナビリティを重視する経営にシフトしていく姿勢を示した。
【参照ページ】新型コロナウイルスの感染拡大を受けた、自動車工業4団体によるメッセージ
【参照ページ】ファーストリテイリング今後の展望
【参照ページ】日本電産・永守氏、新型コロナ「利益至上」見直す契機
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