投資運用世界大手米ブラックロックは4月、同社の株主向け通信の中で、同社の投資信託「BSFインパクト・ワールド・エクイティ」シリーズの名称を、「ブラックロック・システマティック・ESG・エクイティ」シリーズに改称すると発表した。投資除外銘柄も新たに定める。
BSFインパクト・ワールド・エクイティは、2015年に設定されたときから、ESGインテグレーション型の投資信託だが、名称に「インパクト」を付けたことで、混乱と批判を招いてきた。また、同社は3月31日、新たにインパクト追及型の「ブラックロック・グローバル・インパクト・ファンド」を設定しており、市場に普及している「インパクト」と「ESG」の概念にあわせた名称に揃えた形。
従来からのBSFインパクト・ワールド・エクイティは、「ブラックロック・システマティック・ESG・エクイティ」となることで、ESGインテグレーション型の投資信託ということを明確化。今回新たに、問題性のある武器(クラスター爆弾、対人地雷、化学兵器、生物兵器、核兵器)、民間銃器、オイルサンド、たばこ、一般炭(石炭)採掘、石炭火力発電を投資除外する。
また、国連グローバル・コンパクト(UNGC)に重大な違反の企業も除外する。除外してもリスク調整後リターンは変わらないという。同ファンドのパフォーマンスは、2020年2月末までの3年間で21%。世界の同種ファンド平均の15.1%よりはるかに高かった。同ファンドは、日本でも「ブラックロック・インパクト株式ファンド」がファンド・オブ・ファンズ(FOFs)となり、BSFインパクト・ワールド・エクイティで運用する投資信託が設定されている。
一方、新たに設定したブラックロック・グローバル・インパクト・ファンドは、国連持続可能な開発目標(SDGs)に関連する社会及び環境分野へのインパクトを追及しながら成長性の高い銘柄に投資し、ベンチマークの「MSCI ACWI」をアウトパフォームすることを目指す積極アクティブ型のファンド。投資対象銘柄は約45。マテリアリティ、アディショナリティ(追加性)、測定可能性の3つの面で、インパクトの概念を考慮。国際金融公社(IFC)のインパクト・マネジメント実施原則(Operating Principles for Impact Management)にも準拠する。投資先企業へのインパクト視点でのエンゲージメントも積極的に実施する。
同社の発表によると、投資セクター割合は目下、公衆衛生22.9%、金融・デジタル・インクルージョン15.9%、再生可能エネルギー12.1%、教育関連11.1%、アフォーダブル・ハウジング10.5%、持続可能な食品・水・廃棄物9.3%、省エネ・電動化・デジタル化7.1%、安全・セキュリティ6.2%、複数テーマ4.9%。公衆衛生が非常に多いのは、新型コロナウイルス対策で成長性が高いとみているため。
ブラックロックは今回の改称について、インパクト投資型は「SDG advancement」、ESGインテグレーション投資型は「SDG alignment」と呼び、概念を整理した。国際的には、インパクト投資もESGインテグレーションも、ESG投資の詳細分類として位置づけられている。
【参照ページ】Blackrock Global Impact Fund
【参照ページ】Invest for more
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