エネルギー世界大手蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは4月16日、気候変動対応として、2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)にコミットすると発表した。新型コロナウイルス・パンデミックや原油価格下落局面による財務的圧力が大きい中にあっても、1.5℃目標達成に向け推進する。
同社は、1.5℃目標を達成するには、先進国で2050年までに、世界中で2060年までに、二酸化炭素ネット排出量ゼロを実現する必要があり、今回野心的な目標を設定したと表明。背景には、機関投資家イニシアチブClimate Action 100+によるエンゲージメントがある。同エンゲージメントは、英国国教会年金理事会やロベコ、USS、年金基金大手PMTとPMEの代理として運用会社MN等が主導。運用資産残高(AUM)40兆米ドルの機関投資家450社が協調した。Climate Action 100+は、同社のコミットメントを歓迎した。
エネルギー大手では2019年12月、スペインのレプソルが原油・ガス採掘大手として世界初の2050年までのカーボンニュートラルを宣言。3月にはBPが気候変動対応アドボカシーNGOオランダのFollow Thisとの協調路線に舵を切っている。ロイヤル・ダッチ・シェルの今回のアクションは、競合の動向も踏まえたと見られる。
【参考】【スペイン】レプソル、2050年までのカーボンニュートラル宣言。原油ガス採掘大手で世界初(2019年12月6日)
【参考】【イギリス】BP、2021年株主総会向け気候変動株主提案で環境NGOと協調。スコープ3でもゼロ示せるか(2020年4月1日)
今回のシェルは、すべての自社製品製造(スコープ1)および自社事業での電力消費(スコープ2)に伴う二酸化炭素ネット排出量を、遅くとも2050年までにゼロにすると明言。また、再生可能エネルギー、バイオ燃料、水素発電等を活用し、同社が販売するエネルギーのネットカーボンフットプリントを2050年までに約65%、2035年までに約30%削減するとした。
また同社は、スコープ3の削減にも言及。脱炭素社会への移行に向けた支援を行うと表明した。省エネ改善、低炭素エネルギー製品の使用、炭素回収・貯蔵(CCS)や炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)の技術開発が必要だとし、企業や政府等との協働の必要性を訴えた。
【参照ページ】SHELL’S AMBITION TO BE A NET-ZERO EMISSIONS ENERGY BUSINESS
【参照ページ】Investors welcome net zero emissions commitment with Shell
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