アパレル世界大手米NIKEは4月16日までに、医療資材や食糧の援助で1,700万米ドル(約18億円)の寄付を表明。また、委託先縫製企業に対しても、仕掛り中の製品への実費支払にコミットメントすると発表した。アパレルのサプライチェーンでは、ブランド企業が発注を減少または停止されている中、発展途上国に集中している縫製企業と従業員が経済的な危機に瀕しているが、NIKEは、サプライヤーを切り捨てない姿勢を示した。
NIKEの寄付は、同社及び同社の財団「NIKE財団」、さらに同社のフィル・ナイト名誉会長の夫妻、マーク・パーカー会長の夫妻の個人資金を通じて実施する。内訳は、両夫妻からの個人的な寄付が1,000万米ドル(約11億円)。寄付先は、オレゴン健康科学大学に700万米ドル、オレゴン・コミュニティ復旧基金に200万米ドル、オレゴン・フードバンクに100万米ドル。NIKEの本社があるオレゴン州への寄付が多い。
NIKE財団は、世界保健機関(WHO)を支援する「新型コロナウイルス連帯対応基金(COVID-19 Solidarity Response Fund)」に100万米ドル、オレゴン・コミュニティ復旧基金に100万米ドル、キングボードウィン財団を通じて欧州・中東・アフリカでの社会活動に110万米ドル、米テネシー州メンフィスの中南部フードバンクに25万米ドル、グレーター・メンフィス・コミュニティ財団の緊急支援基金に25万米ドル、ボストン財団の緊急支援基金に50万米ドル寄付した。中国では1月に中国青少年発展基金会に140万米ドル寄付している。
NIKEは、医療機器の生産にも乗り出している。オレゴン健康科学大学と協働し、NIKEの工場と従業員を動員し、フェースシールドと、電動ファン付き呼吸用保護具用のレンズの生産を開始している。
サプライヤー保護では、市場の状況を見つつ、発注を続ける意思を表明。特にすでに中国では店舗再開に向かっており、ある程度の販売は確保できるとみられる。また世界中の委託先縫製企業に対し、発注後仕掛中の製品については全額当初予定通にに支払を実施すると表明。発注キャンセルをしなければいけない場合にも、同社の方針及び契約に基づき、生産にかかったコストについてはNIKE側が費用負担することにも言及した。
アパレルブランドでは、PVH(フィリップ・バン・ヒューゼン)も4月15日、同社財団とともに、合計200万米ドル(約2.2億円)の寄付を発表。サプライヤー保護でも寄付を活用する計画を示した。具体的には、国際労働機関(ILO)と国際金融公社(IFC)が共同運営しているイニシアチブ「ベター・ワーク」と連携。委託先企業と従業員の保護の双方を狙う。これとは別に、中国では、中国紅十字会に200万人民元寄付している。
【参照ページ】COVID-19 Response Efforts
【参照ページ】PVH Corp. Pledges $2M Toward COVID-19 Relief Efforts
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