重工業世界大手独シーメンスと独エネルギー大手Uniperは4月8日、電源の脱炭素化に向けた提携を発表した。両社は従来から協力関係にあったが、電源を脱炭素化する共同プロジェクトを始めることで今回合意。再生可能エネルギー電力で水を電気分解して生成するタイプの二酸化炭素排出量フリー水素を燃料した発電を推し進める。
今回の共同プロジェクトでは、Uniperの既存のガス火力発電を水素発電用に転換することを模索。さらにUniperの石炭火力発電でも水素発電への転換を模索するための課題発掘やソリューション検討も進める。Uniperはすでに、2025年までに欧州にある全石炭火力発電所を停止し、2035年に欧州で二酸化炭素排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を実現する目標を掲げている。
シーメンスは、プロジェクトの中で、発電設備の開発を進める。シーメンスはすでに、石炭火力発電の脱炭素化や、ガス火力発電での大幅な二酸化炭素排出量削減を実現する技術を開発する「Brownfield transformation」を推進。バッテリー併設発電所や、ガスのグリーン化も進めている。また、風力発電タービンの開発でも世界大手で、二酸化炭素排出量フリー水素生産に必要な再生可能エネルギー発電でも大きな世界市場シェアを持っている。
両社は、余剰電力を気体燃料に転換して貯蔵するタイプの蓄電技術「パワー・ツー・ガス」にも大きな可能性を見出している。「パワー・ツー・ガス」は、ドイツが先駆者。Uniperは、「パワー・ツー・ガス」施設を、2013年にドイツ・ファルケンハーゲンで、2015年にドイツ・ハンブルクに導入。メタン化プラント化も2018年にファルケンハーゲンに建設している。今後、気体燃料を水素で実現する「パワー・ツー・ガス」の開発を加速させる。
日本でも、政府と産業界の音頭を取り、二酸化炭素排出量フリー水素の検討が進んでいる。だが、現在の本命は、褐炭という低質石炭を化学変化で水素を抽出する技術で、この手法だと化学変化の過程で二酸化炭素が発生してしまう。そのため、炭素回収・活用・貯蔵(CCUS)という新技術も同時に開発しなければいけない状況に追い込まれている。
【参照ページ】Siemens and Uniper join forces to decarbonize power generation
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