国際アパレルNGOのEthical Trading Initiative(ETI)は4月6日、加盟アパレル会社に対し、委託先工場への現時点での発注契約と将来のコミットメントに関するガイダンスを発表した。発展途上国に多く集中しているアパレル工場は、新型コロナウイルスにより発注が激減。壊滅的な打撃を被っている。
ETIの加盟企業は、バーバリー、GAP、H&M、インディテックス、C&A、スーパードライ、ボディショップ、セインズベリー、テスコ、マークス&スペンサー、モリソンズ、プライマーク、Coop、アズダ、ASOS、Li & Fung(利豊)等。他にも、国際労働組合総連合(ITUC)、セーブ・ザ・チルドレン、フェアトレード財団、ケア・インターナショナル、オックスファム等の労働組合団体やNGOも加盟している。本部は英国。
今回のガイダンスでは加盟企業に3つを要請した。まず、発注済み契約の早期支払。資金繰りや生活費に苦しむ発展途上国のアパレル従業員を支援するための期日前支払を促した。また、契約書上の「不可抗力条項」を活用することを戒め、当初約束通りの支払に応じるべきとした。
次に、発注済みだが受取前の契約については、すでに委託先工場での作業が始まっている分については、中止したとしても支払をすべきとした。しかしそれ以上に、中止をせず、発注を完了させることを求めた。
最後は、将来の発注キャンセルについて。通常、将来の発注については何ら制約されるべきではないが、現在は、各アパレル工場が生産能力を維持するだけでも大きな支出を伴う。そのため、迅速に将来の発注について委託先との会話を開始し、できれば相応の発注にコミットしてあげるべきとした。
アパレル業界では、バングラデシュ衣服輸出協会(BGMEA)は、受けていた発注全てがキャンセルされたと発表。プライマーク、Matalan、Edinburgh Woollen Company等の企業も、バングラデシュで合計14億ポンドの発注をキャンセルし、10億ポンド分の将来発注も停止している。そこで、プライマークは、サプライヤー従業員の給与を救済するためのファンドを設立。バングラデシュ、カンボジア、インド、ミャンマー、パキスタン、スリランカ、ベトナムでの委託先工場を保護していくと表明した。但し、各国での所得支援策の状況を考慮することも伝えたため、委託先工場の間では、保護が受けられるのか不安視する声も上がっている。
アパレル業界では、別のNGOのFair Wear Foundationも3月31日、新型コロナウイルス・パンデミックに対し、アパレル企業が採るべきアクションをまとめたガイダンス・ウェブページを発表している。Fair Wear Foundationは、中小の企業が多いのに対し、ETIは大企業の加盟が多い。
【参照ページ】ETI publishes guidance to apparel and textile members on payment of orders to workers
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