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【ヨーロッパ】ECBと英銀、新型コロナで市中銀行への優遇融資と資産買入プログラム増額を発表

 欧州中央銀行(ECB)理事会は4月7日、新型コロナウイルス・パンデミック不況に対処するための金融政策として、金融機関に対する中央銀行からの借入れ基準や規制基準を緩和した。発表された金融政策は3つの柱で構成する。

 まず、ECBの長期資金供給オペ(LTRO)において、市中銀行が国債等を担保とし、中央銀行から融資を受ける際の担保適格基準を緩和した。ECBは3月12日、追加のLTROを金利を預金ファシリティ水準(-0.5%)としての即時実施と、2020年6月から2021年7月までの貸出条件付長期資金供給オペの第3弾(TLTRO III)で優遇金利を適用することを決定。政策金利をメインリファイナンス金利(MRO)を25ベーシスポイント下回る水準とし、貸出条件を満たせば預金ファシリティを25bp下回る水準でも可とした。今回さらに、担保基準を緩和し、信用格付の低いローンも対象にすることを決めた。但し、外貨ローンは対象外とする。

 次に、担保的適格基準の緩和で、国債信用債権について、最小単位を25,000ユーロから0ユーロに引き下げた。これにより小規模事業者への融資でも供給オペを促進できるようにした。また金融機関1社当たりの無担保債権の担保適格性上限でも、2.5%から10%に引き上げた。ギリシャでの発行された債権に対する信用債権の特別要件についても臨時で撤廃した。

 さらに今回、金融監督上のリスクトレランス・レベルも緩和。担保評価のヘアカット基準を、固定ファクターで20%引き下げた。

 ECBは3月18日、ユーロ資産の買入プログラムでも、新たに「パンデミック緊急資産購入プログラム(PEPP)」を導入し、2020年末までに総額7,500億の買入を決めた。ECBは2019年11月に月額200億ユーロの買入(APP)、3月12日にも総額1,200億ユーロの追加買入を打ち出しているが、新型コロナウイルス・パンデミック以降、買入申込みが急増している。

 英イングランド銀行も4月2日、2016年8月から実施している社債買入プログラム(CBPS)でも、国債と合わせた買入総額を従来の2,000億ポンドから新たに6,450億ポンドに増額することを決定。そのうち100億ポンド以上で非金融機関の社債を買入れるとした。また、3月12日に新設した中小企業向けの新たなタームファンディングスキーム(TFSME)も4月15日に受付開始となる。TFSMEでは、企業ローンを担保資産とする融資を金融機関に対して提供するスキーム。期間は4年。融資を拡大するほど、金融機関に対する金利が低下し、中小企業には多く融資を実施できるインセンティブが付けられている。

 イングランド銀行は4月9日、歳入法に基づく政府への短資流動性供給でも基準を緩和した。

【参照ページ】ECB announces package of temporary collateral easing measures
【参照ページ】ECB announces easing of conditions for targeted longer-term refinancing operations (TLTRO III)
【参照ページ】ECB announces €750 billion Pandemic Emergency Purchase Programme (PEPP)
【参照ページ】Asset Purchase Facility (APF): Additional Corporate Bond Purchases – Market Notice 2 April 2020
【参照ページ】The Bank of England’s Term Funding Scheme with additional incentives for SMEs will open to drawings on 15 April 2020

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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