新型コロナウイルスで業績が低迷する中、大企業は関係者への支援策を相次いで発表している。事業開発に繋げるケースや、事業リソースの稼働率を上げたり、関係者との信頼関係を厚くしにいくアクションが目立つ。
IT世界大手独SAPは4月2日、資金とスキルの両面で、新型コロナウイルスへの対策が必要な分野への協力を発表した。資金面では、世界保健機関(WHO)、CDC財団、及び他のNGOや社会企業に対し、総額300万ユーロ(約3.6億円)を寄付する。支援先のNGOや社会企業については、SAPはすでに1,200社・団体と協働しており、リーチできる若者の数は105カ国450万人に及ぶ。
スキル面での提供では、従業員が自主的なアクションを起こしている。SAPのプロダクト責任者の一人Kevin Drieschnerは、混乱する医療現場を支援するため、病室の病床の空き状況を可視化するためのシステムのプロトタイプ版を「TrackYourBed」を、30人の仲間と一緒にわずか2日間で開発。SAPは、すでにこのアイデアに予算を投下し、開発を進めているという。
他にも、ウェビナーやリモートワークの活用支援のためのプロボノやバーチャル・ボランティア活動も50以上が始動。社内のインフラを活用し、数多くのサービスが展開されている。北米では、サプライヤー管理ツール「SAP Ariba Discovery」を活用し、Joerns Healthcareから建材卸Ram Toolへの病室ベッド500台の調達マッチングを、わずか30分で実現させた。非常事態に従業員が、次々とアイデアを生み出すことで、新たな事業ニーズを掘り起こしている。
米eBayは4月2日、休業状態に追いやられた中小の小売事業者のオンライン販売を支援するため、新たなプログラム「Up & Running」を発足。同社として1億米ドル(約110億円)の予算を用意し、プログラム参加者には3ヶ月間、eBayでの基礎手数料を無料に、従量課金型の手数料も500個販売まで無料にする施策に出た。さらに通常は有料で提供されているガイダンスやサポートツールも無料で提供することにした。個別メンターも付けた。米国では、約70%での小規模小売事業者がオンラインでの販売チャネルを持っていないという。Eコマース化が進めることで、Win-Winの関係を目指す。
仏ロレアルは3月18日、欧州全域での支援プログラムを発表。自社工場で消毒用ハンドジェルの大量生産を進めるとともに、同社の取引先の医療施設や薬局、食料物流センターに寄付する活動を展開。さらにヘアサロンや小規模の香水ショップ等からの売掛金回収を当面停止するとともに、サプライヤーに対しては通常よりも買掛金の支払を早くする金融支援策も打ち出した。ロレアル財団を通じて、100万ユーロ(約1.2億円)を連携先のNGOに寄付することも決めた。
顧客現象に苦しむホテル業界では、米ラスベガス・サンズが3月31日、支援策を打ち出している。医療用マスクを本社のあるネバダ州と、感染が深刻なニューヨーク州に100万個ずつ、医療用防護服2万着をネバダ州の医療機関に寄付することを決めた。NGOに対しては、食料60パレット分と水5.5万本を寄付。現金も25万米ドル(約2,700万円)をNGOに寄付している。その上で、休業したホテル従業員約1万人に対し、給与を払い続けている。
【参照ページ】SAP Establishes €3 Million COVID-19 Emergency Fund, Increases Support of Social Sector Partners Globally
【参照ページ】eBay Launches “Up & Running” To Immediately Bring Small Businesses Online
【参照ページ】L’Oréal launches a Europe-wide coronavirus solidarity programme
【参照ページ】Las Vegas Sands to Donate More than Two Million Pieces of Personal Protection Equipment
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