英政府は3月26日、現代奴隷法声明を発行した。2015年に制定された英国現代奴隷法は、世界での売上高3,600万ポンド(約50億円)を超え、英国法人を持つ企業に対し、年の一度の現代奴隷法対応声明を出すことを義務付けている。今回の声明は、英政府としてのポリシー、体制、アクションをまとめたもので、初発行となる。
英政府は今回、公的機関としての範を示すため、自主的に同声明を発行したと説明した。政府としては、政府調達でサプライチェーンを抱えており、直接的にエンゲージメントした企業数は400に及ぶ。公共調達が世界経済に占める割合は世界GDPの15%から20%と大きい。すべての政府は、税金が、不注意に犯罪活動に活用されないよう、サプライチェーン上の弱い立場にある労働者を搾取から保護する責任があるとした。
英政府は2019年9月、契約要件定義から商品調達、サプライヤーとの関係管理、搾取発見時の是正対応まで、ライフサイクル全体を通じた現代奴隷リスク特定と軽減に向けたガイダンスを公開した。最もリスクの高い領域としては、ICTハードウェア、電子機器、建設、清掃やケータリング等のサービス業と特定した。
また英政府は、多様なステークホルダーと協働。米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドとの間では、サプライチェーンにおけるヒューマントラフィッキング対策原則を策定した。購買・調達専門機関Chartered Institute of Procurement & Supply(CIPS)とは、倫理的な調達に関するeラーニングとテストを開発。現代奴隷の防止に向け、職員250人以上に研修を実施した。労働者の権利の改善に向け、海外開発援助に2億ポンド(約260憶円)を拠出する他、現代奴隷デューデリジェンスを、通常のビジネス慣行に組み込めるよう、サプライヤーとも緊密に協働したという。
さらに、英政府は、サプライヤー選定にあたり、現代奴隷リスク削減等を考慮した企業リストを作成。現代奴隷法違反防止の取り組みを、最低でも10%付加価値として重みづけするとした。
英政府は、2020会計年度からは各省単位での現代の奴隷制声明を発表する予定。初版は2021年9月30日までに発行する。
【参照ページ】UK government modern slavery statement
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