厚生労働省は3月31日、新型コロナウイルス・パンデミックの拡大防止に向け、日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会、日本労働組合総連合会に対し、職場での対応を要請した。
今回の要請は、首相官邸の新型コロナウイルス感染症対策本部が3月28日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を決定したことを受けての措置。同方針では、「政府は、職場等における感染の拡大を防止するため、労働者を使用する事業者に対し、事業場内及び通勤・外勤時の感染防止のための行動(手洗い、咳エチケット等)の徹底、在宅勤務(テレワーク)や時差通勤、自転車通勤の積極的な活用、事業場の換気等の励行、発熱等の風邪症状
が見られる労働者への出勤免除(テレワークの指示を含む。)や外出自粛勧奨、出張による移動を減らすためのテレビ会議の利用等を強力に呼びかける」としていた。
今回発した要請では、職場での換気の徹底、物品・機器等(例:電話、パソコン、フリーアドレスのデスク等)の複数人での共用回避や消毒、石鹸による手洗いの徹底、飛沫感染の防止、長時間の時間外労働等の回避による疲労の防止を促した。また、出社・帰宅時、飲食前の手洗いや手指のアルコール消毒、在宅勤務・テレワークの活用も促した。感染者が発覚した場合の対応ルールの作成等も促した。
今回の要請事項は、一般的なものであり、目新しさはない。感染者が発覚した場合の消毒やオフィス利用の停止等の踏み込んだ内容にも触れなかった。さらに、感染や隔離の際の傷病休暇の扱いや、解雇防止のための措置等、本質的に労働者を保護するための内容もなかった。
また厚生労働省は、全国での感染蔓延状況を把握するため、クラスター対策班を発足したと発表。民間事業者等に対し、事業活動等を通じて、個人を特定されない形でクラスター対策に資する情報を政府に提供するための協定締結に賛同するよう求めた。特に、プラットフォーム事業者・移動通信事業者に対し、内閣官房、総務省、厚生労働省、経済産業省の連名で、自主的な参加を要請した。
協定で想定している内容は、外出自粛要請等の社会的距離確保施策の実効性の検証、クラスター対策として実施した施策の実効性の検証、今後実施するクラスター対策の精度の向上の3点。データ共有は、政府内の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の担当部署に限定し、取得したデータは、当該部署における取組が終了次第、速やかに消去するという。LINEが、いち早く協定を締結した。
個人情報の保護を強化してきた政府が、自主的な協定締結を前提とするとはいえ、個人情報の目的外利用のため第三者共有を要請するのは、よほどの緊急事態と言える。そうれであれば、今回の協定締結要請は、緊急事態宣言とセットになっているべきではなかっただろうか。
【参照ページ】新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について労使団体に要請しました
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