エネルギー世界大手英BPは3月27日、気候変動対応アドボカシーNGOとの間で、2021年株主総会での気候変動株主提案作成で協働すると発表した。BPはこれまで、同NGOからの株主提案に対しては抵抗する姿勢を貫いてきたが、今回ついに協調路線に舵を切った。
今回BPと協働するNGOは、オランダのFollow This。Follow Thisは当初はロイヤル・ダッチ・シェルを狙った株主提案を実施していたが、2019年の株主総会向けに初めてBPにも株主提案を提出。BPは、Follow Thisからの株主提案に反対推薦を出しつつ、気候変動の機関投資家団体Climate Action 100+と協調する策に出ていた。
【参考】【イギリス】BP、Climate Action 100+の気候変動株主提案に賛成・Follow Thisの提案には反対(2019年4月13日)
BPは2月、2050年までに事業活動での二酸化炭素ネット排出量をゼロ(カーボンニュートラル)にする計画を発表。3月には、気候変動対応に消極的として米国燃料石油化学製品製造者協会(AFPM)、西部州石油協会(WSPA)、西部エネルギー同盟(WEA)の3つの業界団体からの脱退も決めた。
【参考】【イギリス】BP、2050年までの事業活動でのCO2ネットゼロ発表。製品CFPは原単位で半減(2020年2月15日)
【参考】【イギリス】BP、米エネルギー関連の3業界団体からの脱退表明。気候変動政策が不十分(2020年3月2日)
今回の決定では、Follow This側が、2月に発表したBPのアクションを評価し対し、製品利用からの二酸化炭素排出量(スコープ3の一つ)からの二酸化炭素ネット排出量をゼロにする目標が入っていなかったことを批判し、2020年の株主総会向けの株主提案では、スコープ3でもネットゼロにすることを要求していた。しかし、その後、BPのバーナード・ルーニーCEOが3月、スコープ3でもゼロにする意向を示したため、Follow Thisは批判を軟化。Follow Thisは2020年株主総会向けの株主提案を取り下げた上で、BPと協働で2021年向けの株主提案の内容を定めることで合意した。
Follow Thisが2019年の株主総会向けに提出した株主提案では、オランダの10大機関投資家のうち6機関が賛成の議決権を行使している。Follow Thisは今回、賛成票を投じたActiam、Achmea、エイゴン、MN、NN-IP、Van Lanschot Kempenにあらためて謝意を表明した。同株主提案では、英国の機関投資家でもM&Gインベストメンツ、イングランド国教会、J・サフラ・サラシン銀行が賛成票を投じた。
Follow Thisは、2021年向けの株主提案でどこまで積極姿勢をBPが見せるかに注視していくという。一方、Follow Thisがエンゲージメントを実施しているロイヤル・ダッチ・シェルとエクイノールについては依然課題が残っていると指摘。両者は2050年までに二酸化炭素排出量30%削減を目標としているが、パリ協定では2℃目標で70%、1.5℃目標100%削減が掲げられており、差分がある。Follow Thisは、株主間で協力し、プレッシャーをかける必要があるとした。
【参照ページ】BP and Follow This agree to work towards a climate resolution for 2021
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