新型コロナウイルス・パンデミック感染者への対応として必要となる人工呼吸器の数量不足が続く中、製造業各社が医療機器メーカーと協働し、人工呼吸器の生産に乗り出している。製造業各社は、調達や販売が停滞したことを理由とした生産停止に追い込まれており、人工呼吸器生産は工場稼働を維持する効果もある。生産する医療機器は、生産を優先できるよう医療機器との間で製品の簡易な再設計も実施されている。
自動車世界大手米GMは3月20日、新型コロナウイルス・パンデミック対策として、医療機器大手Ventec Life Systemsと協働し、同社製の人工呼吸器を生産すると発表した。GMは3月18日に、自動車生産を3月30日まで一時停止すると発表していた。
GMの発表では、3月30日以降は、自動車生産の再稼働の判断を週毎に行う計画としていた。だが、米ドナルド・トランプ大統領は3月27日、国防生産法を発動し、GMに対し人工呼吸器の生産を命じた。これにより3月30日以降も継続することが決まった。人工呼吸器の生産台数は米保健福祉長官が設定する。人工呼吸器は、新型コロナウイルスで発症する肺炎症状の処置として重要な医療機器。
米国ではフォードも3月24日、GEと協働し、GE製の人工呼吸器の生産を発表している。さらに3Mと協働で医療用電動空気清浄マスク(PAPR)の生産を、UAWと協働で医療用フェイスシールドを毎週10万個生産すると発表した。
トヨタ自動車も同様に3月27日、医療用フェイスシールドの大量生産を翌週初めに開始し、人工呼吸器の生産も医療機器メーカーと検討していることを発表した。
テスラのイーロン・マスクCEOも3月23日、中国で在庫になっていたレスメド、フィリップス、メドトロニック製の人工呼吸器を合計1,255台購入し、ロサンゼルスに寄付すると発表。さらに3月27日、医療機器メーカーと協働し、自社工場で人工呼吸器の生産を開始すると表明した。
英国でも、ボリス・ジョンソン首相が3月16日、製造業大手に人工呼吸の生産を要請。英家電メーカーのダイソンも3月27日までに、新型の人工呼吸器を生産する見通しがわかった。政府の依頼を受けたという。英国政府の発表によると、3月28日までに8,000台を確保。さらに数週間で追加で8,000台が確保できる見通しだという。
【参考】【イギリス】政府、ホンダ等製造業大手60社に人工呼吸器の生産要請。新型コロナ対策、2万台
日本でも3月29日、西村康稔経済再生担当相(兼新型コロナ対策担当大臣)は、新たに人工呼吸器およそ3,600台を確保したと表明。増産に向けた支援も検討していると伝えた。
【参照ページ】FORD WORKS WITH 3M, GE, UAW TO SPEED PRODUCTION OF RESPIRATORS FOR HEALTHCARE WORKERS, VENTILATORS FOR CORONAVIRUS PATIENTS
【参照ページ】Memorandum on Order Under the Defense Production Act Regarding General Motors Company
【参照ページ】Joint Statement on Collaboration to Increase Ventilator Production
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