国際環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、バンクトラック、シエラクラブ、オイル・チェンジ・インターナショナル、Indigenous Environmental Network、Reclaim Financeの6団体は3月18日、世界主要銀行の化石燃料へ融資・引受状況をまとめた報告書「Fossil Fuel Finance Report Card 2020(化石燃料ファイナンス・レポートカード2020)」を発表した。
同様のレポートは今年で11回目。当初は「Reportcard on banks and mountaintop removal」という名称だったが、2013年に「Coal Finance Report Card」に改称。さらに2016年から「Fossil Fuel Finance Report Card」という名称となり、石炭だけでなく問題性の高い化石燃料にまで分析対象を拡大した。
【参考】【国際】環境NGO、銀行世界大手の2019年化石燃料融資状況報告書発表。MUFGとみずほ、状況不良(2019年3月22日)
今回の分析メソドロジーは、化石燃料の採掘、輸送、消費、貯蔵に関わる2,100社を対象とし、当該企業への融資・有価証券引受額を銀行毎に算出した。また、石炭採掘、石炭火力発電、オイルサンド、北極圏原油・ガス開発、オフショア原油・ガス開発、シェールオイル・ガス開発、液化天然ガス(LNG)については個別に業界30社への融資・有価証券引受額についても算出した。また、実績ではなく、セクターポリシーのレベル感でも格付を行った。
石炭火力発電
石炭火力発電へのファイナンス額は、例年通り、中国工商銀行(ICBC)、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行の4社が上位を占めた。その後に、シティグループ、バークレイズと続く。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は7位、みずほフィナンシャルグループが10、三井住友フィナンシャルグループは24位に入った。但し、金額はプロジェクトファイナンスではなく、コーポレートファイナンスで集計しているため、当該企業への融資が、必ずしも石炭火力発電事業に使われているかは定かではない点に注意が必要。
石炭火力発電セクターポリシーでは、32点満点で、10点以上を取る欧州勢が多数出た。日本勢では、三菱UFJフィナンシャル・グループが3.5点。みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループは2.5点だった。
石炭採掘
また、石炭採掘ポリシーでは、同じく32点満点のうち、三菱UFJフィナンシャル・グループが1点。みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループは、中国の大手銀行と並び0点だった。
トータル
化石燃料全体のポリシースコアでは、クレディ・アグリコルが82点で最高評価を受けた。その後、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)、ウニクレディト、BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、INGと続く。米系ではゴールドマン・サックスの21.5点が最高。日本勢では、三井住友フィナンシャル・グループが5点、みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループが3点で、中国とカナダの主要銀行より多少良いというレベルだった。
【レポート】FOSSIL FUEL FINANCE REPORT 2020
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