英シンクタンクは3月9日、2019年の世界の電力発電量状況を分析したレポートを発表した。2019年に世界の電力需要は1%伸長したにもかかわらず、石炭火力発電量は3%減少していた。
今回のレポートは、Emberが発表したもの。電源別の発電量で最も伸びたのは太陽光発電で22%。風力発電も12%増加した。ガス火力発電と原子力発電も4%伸びた。原子力発電では、日本と韓国での再稼働、中国での新設が大きい。石炭火力発電量が大きく減少したことで、2019年の発電での二酸化炭素排出量は2%減少。1990年以来、減少幅が最大となった。
石炭火力発電量の状況では、中国が最大。2019年も石炭火力発電量が2%増えた。但し、中国では、総需要の伸びに対し石炭火力発電量の割合は小さく、電源シェアは毎年低下し、現在は62%。さらに石炭火力発電も44GW分新設されたため、2019年は稼働率が大きく下がった。その他の電源では、再生可能エネルギーと原子力発電が大きく伸びている。
米国では、トランプ政権の親石炭政策にもかかわらず、石炭火力発電量は15%減少。新設火力発電所がほぼゼロながら、廃止になった発電所が16.5GW分もあったことが大きい。原子力発電の発電量増も0%で、石炭火力発電から、再生可能エネルギーとガス火力発電への移行が進んでいる。
但し、今のペースでは、世界全体で1.5℃目標を達成することは到底できないと酷評した。
世界の石炭火力発電量・設備容量(2019年)
国 | 発電量TWh | シェア | 新規容量GW | 廃止容量GW |
---|
中国 | 4,560 | 50.2% | 43.8 | 7.0 |
インド | 999 | 11.0% | 8.1 | 0.8 |
米国 | 966 | 10.6% | 0 | 16.5 |
日本 | 285 | 3.1% | 1.3 | 0.1 |
韓国 | 223 | 2.5% | 0.2 | 0 |
南アフリカ | 198 | 2.2% | 1.6 | 0.5 |
ドイツ | 172 | 1.9% | 0 | 1.2 |
ロシア | 166 | 1.8% | 0.9 | 1.4 |
インドネシア | 163 | 1.8% | 2.4 | 0 |
オーストラリア | 144 | 1.6% | 0 | 0 |
【参照ページ】2020 GLOBAL ELECTRICITY REVIEW
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