公正取引委員会は3月10日,楽天の送料一律無料化に関し、東京地方裁判所に提出した緊急停止命令の申立を撤回した。楽天が3月6日、新型コロナウイルスの感染拡大等の影響に鑑みて出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようにすること等を公表したことを受けての措置。但し、同案件の違反被疑行為に対する審査そのものは継続する。
同案件は、楽天が2019年10月31日、楽天市場で商品を購入する際の販売事業者の送料無料ラインを定めた「送料設定に関するガイドライン」を改訂し、送料無料ラインの上限を全国一律3,980円に、沖縄・離島などへの配送に限り9,800円にすることを定めたもの。出店者に対しては、同日に一斉に同社の店舗運営システム(RMS)上で通知した。楽天市場は、楽天自身が販売事業者ではなく、いわゆるモール型という運営方式。送料等は各販売事業者が設定するため、ユーザーからは販売手数料がわかりづらいという声も上がっていた。一方、アマゾンでは、アマゾン自身が販売事業者となっているものは、アマゾン自身が送料を決められるため、送料体型がわかりやすくなっている。楽天は後に、3月18日に送料一律無料化を導入する方針を決めた。
これに対し、一方的に送料の無料化ラインを決められた販売事業者からの反発が起こった。11月1日には早速、送料一律無料化に反発する事業者で「楽天ユニオン」が結成され、1月22日に公正取引委員会に楽天を独占禁止法違反(優越的地位の乱用)として申し立てた。公正取引委員会は2月10日、楽天への立入り検査を実施。だが、楽天の三木谷浩史・社長は2月13日に送料一律無料化を予定通り3月18日に実施すると発表した。楽天ユニオンの署名者数は2月16日には5,000を超えた。
そのため公正取引委員会は2月28日、独占禁止法の審議には時間を要するものの、3月18日に無料化が実施されると申立てた楽天ユニオン側の損害となる可能性があるとして、東京地方裁判所に緊急停止命令を申し立てていた。
しかし3月5日、送料一律無料化に賛成する販売事業者120店舗で「楽天市場出店者 友の会」が発足。送料を加味した上で商品価格を決めるのは普通のこととして賛意を示す動きも出ていた。
【参照ページ】(令和2年3月10日)楽天株式会社に対する緊急停止命令の申立ての取下げについて
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