日本航空(JAL)、丸紅、JXTGエネルギー、日揮の4社は2月25日、廃棄プラスチックから代替航空燃料(SAF)を製造・販売する事業について事業性調査を共同で実施すると発表した。国際民間航空機関(ICAO)が二酸化炭素排出量削減制度「CORSIA」を決定して以来、欧米の航空会社はバイオジェット燃料でのSAFを先行して模索したが、日本の航空会社は出遅れていた。
【参考】【国際】ICAO総会、国際線への温室効果ガス排出削減制度で画期的な合意。排出権購入を義務化(2016年10月24日)
今回4社は、リサイクルできず、国内で焼却・埋立処理されている中・低品位の廃棄プラスチックを念頭に、廃棄物を原料とする代替航空燃料の事業性を検討する。燃料生産技術では、米国の代替航空燃料製造企業Fulcrum BioEnergyの技術を活用する。プロジェクトでは、丸紅が全体統括、日揮がプラント、JXTGエネルギーが燃料評価、JALが燃料の取扱評価を担当する。また、4社は、大成建設及びタケエイと覚書を締結し、2社が、廃棄物の原料調達及び前処理方法の検討を担う。
参画企業は、2020年2月から12月にかけ、廃棄物の収集・処理システムの検討や製造プロセスの技術評価、製品のロジスティックスの評価、ライフサイクルアセスメント(LCA)によるCO2排出量削減効果の検証等を行います。その後、本調査の結果を踏まえ、2020年代前半に実証設備の導入および試験の実施、2025年頃に商用機の着工を目指す。
同案件では今後、ライフサイクルアセスメントが重要な鍵を握る。実施するライフサイクルアセスメントでは、現在の化石燃料由来の燃料との比較だけでなく、パリ協定との整合性が求められる。もし整合性が示せなければ、今後の国際基準の中で不利になっていく可能性が高い。廃棄プラスチックそのものは、現状は植物由来のもの以外は化石燃料を由来としている。そのため、欧米の航空会社は、廃棄プラスチックではなく植物由来のSAFに可能性を見出している。廃棄プラスチックの活用でもパリ協定整合性が見出だせるか、今後プラスチックが植物由来プラスチックに切り替わっても今回のスキームが機能するかのチェックに注目が集まる。
【参照ページ】日本における代替航空燃料の製造・販売事業に関する事業性調査の実施について
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