世界銀行が発行したパンデミック債の価格が急落している。パンデミック債は、平時には高い金利を受け取ることができるが、世界的な感染症が発生した際に投資家は償還前の残金の償還権利を失う。現在、新型コロナウイルスの世界的な感染により、支払義務発動が早いクラスBの価格は、額面1米ドルの債券に57セントの値段が付いている模様。英紙フィナンシャル・タイムズが2月25日、報じた。
世界銀行は2017年に総額3.2米ドル(約350億円)のパンデミック債を発行。償還日は2020年7月15日に設定されており、まだ償還前残金が残っている。そのうちクラスBは9,500万米ドル発行。コロナウイルスも発動対象となっており、発生国から感染が越境し、非発生国で20人以上の死者が出る等の条件を満たすと、償還権利が失効する。2月25日までにすでに中国国外で34人が死亡しており、死者数では発動条件を満たした。
【参考】【国際】世界銀行、パンデミック緊急ファシリティ(PEF)用に債券とデリバティブで資金調達(2017年7月23日)
一方、2.25億米ドル発行されたクラスAは、コロナウイルスも対象となっているが、発動条件の死者数は発展途上国で2,500人と設定されており、まだ発動の見通しはない。そのためクラスAの市場価格はほぼ額面のままとなっている。
パンデミック債の資金使途は、発展途上国向けの緊急融資を行う「パンデミック緊急ファシリティ(PEF)」。PEFは、日本政府とドイツ政府が投票権あり、世界保健機関(WHO)や世界銀行等が投票券なしの形で運営している。
トランシェBを購入した投資家は、地域別では、欧州(82.9%)、米国(15.0%)、日本(0.0%)、バミューダ(2.1%)。投資家種別では、キャットボンド投資家(35.3%)、運用会社(16.3%)、年金基金(42.1%)、慈善財団(6.3%)。
【参照ページ】世界銀行、パンデミック緊急ファシリティによる5億ドルの支援を資金面で支える 史上初の感染症債を発行
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