キリンホールディングスは2月10日、2013年に策定した「キリングループ長期環境ビジョン」を改訂し、新たに「キリングループ環境ビジョン2050」を発表した。2050年までに環境インパクトを「ポジティブ」にすることを宣言した。
キリングループの環境ビジョン2050では、2013年の「長期環境ビジョン」と同様に、生物資源、水資源、容器・包装、気候変動の4分野で目標を設定してた。生物資源では、2013年時は「2050年までに、生物資源を持続可能な形で使用していることを目指します」としていたが、今回、FSC、RSPO、レインフォレスト・アライアンス(RA)認証に言及し、これら等の認証スキームに合致した原料農作物を調達すると踏み込んだ。また、気候変動適応として、地球温暖化に適応した農作物を育種することも明記した。食品廃棄物ゼロも盛り込んだ。
水資源では、2013年時は「2050年までに、それぞれの地域で享受できる水源を永続的に確保していることを目指します」としていたが、今回、水消費量削減とともに、サプライチェーンでの水害対策も盛り込んだ。但し、水ネット消費量のゼロやポジティブについては盛り込まなかった。
容器・包装では、2013年時は「2050年までに、容器包装を持続可能な状態で使用していることを目指します」としていたが、今回、プラスチックを念頭に、再生素材や植物由来の容器・包装にすると明記。リサイクルでは、日本については「牽引」としたが、海外拠点では「貢献」とトーンダウンさせた。
気候変動では、2013年時は「2050年までに、事業のバリューチェーンでの CO2 排出量を地球の吸収可能な範囲に抑えます」としていたが、今回、バリューチェーン全体での二酸化炭素ネット排出量をゼロ(カーボンニュートラル)を宣言。早期に再生可能エネルギー(RE)100を実現することも謳った。
また同社は、2019年に発表した長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を改訂し、環境分野について「ポジティブインパクト」で、持続可能な地球環境を次世代につなぐ」とポジティブインパクトを明確にした。但し今回の「環境ビジョン2050」を達成しただけではポジティブインパクトは達成できないため、今後さらなる目標の引き上げが必要となってくる。
キリンホールディングスは2月14日、国内居住の社内取締役と執行役員を対象に、現行の業績連動報酬制度から業績連動型株価連動報酬制度に切り替えると取締役会で決議したと発表した。役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託の仕組みを活用した信託型株式報酬制度を適用する。同制度では、同社が資金を信託銀行に信託した上で、信託銀行が同社株式を購入してプール。取締役は業績に応じてポイントを付与され、業績評価期間の開始から3年目以降に付与ポイントに応じて株式が付与される。信託されている株式については、信託銀行は議決権を行使しない。
加えて、社外取締役も3人増員することも決議。それにより社外取締役の報酬総額上限を8,000万円から1.5億円に増額する。但し、取締役全体の報酬総額は9.5億円以内から変えない。
【参照ページ】「キリングループ環境ビジョン2050」策定
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