インデックス開発世界大手米S&Pグローバルは2月11日、2020年版「Sustainability Yearbook」を発行した。RobecoSAMは毎年世界大手企業にESGに関する調査票を送付し、回答をもとに企業のESG評価「Corporate Sustainability Assessment(CSA)」を行ってきたが、2019年に同事業はS&Pグローバルに売却された。CSAは毎年、金融インデックス開発世界大手米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのDJSI(Dow Jones Sustainability Indices)に使われている。
【参考】【国際】S&Pグローバル、RobecoSAMからCSA含むESG評価事業を買収。ESGインデックス開発を完全内製化(2019年11月22日)
CSAは1999年に開始され、今年で20年目。Sustainability Yearbookは、CSAの結果概要をまとめたもので、各業界の評価トップ15%の社名が掲載される。さらに60点以上かつ上位1%の企業には「ゴールド」、57点以上で上位5%以内の企業には「シルバー」、54点以上で上位10%以内の企業には「ブロンズ」が付与される。今年は4,710社が調査対象となり、2,686社が調査票に回答した。Sustainability Yearbookに掲載されたのは458社。そのうち74社がゴールド、61社がシルバー、85社がブロンズを獲得した。
CSAの評価手法は、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)とともに、企業の長期的に成長するためのイノベーションや市場成長等の経済的な側面もチェックされる。詳細の設問や評価ウエイトは業界ごとに異なる。2016年からは、献金等公共的団体との関わり方、社会インパクト評価の実施等に関する要素も追加された。
各業界のゴールド獲得企業
- 総合電機:SKホールディングス(韓国)
- 自動車:プジョー(フランス)
- 自動車部品:ピレリ(イタリア)
- 航空宇宙・防衛:レオナルド(イタリア)
- 産業機械:CNHインダストリアル(イタリア)
- 民生電子機器:LG電子(韓国)
- 通信機器:シスコシステムズ(米国)
- コンピューター・周辺機器および事務用電子機器:ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(米国)
- 電気部品・設備:Signify(オランダ)
- 電子装置・機器・部品:デルタ電子(台湾)
- 半導体:ASE(台湾)、TSMC(台湾)
- 鉄鋼:現代製鉄(韓国)
- 化学:PTT Global Chemical(タイ)
- エネルギー設備・サービス:Saipem(イタリア)
- 総合石油・ガス:PTT Exploration & Production(タイ)
- 石油ガス精製・販売:IRPC(タイ)
- 石油ガス貯蔵・輸送:エナガス(スペイン)
- 石炭・消耗燃料:バンプー(タイ)
- 金属鉱業:Teck Resources(カナダ)
- アルミニウム:アルコア(米国)
- 建設関連製品:オーウェンス・コーニング(米国)
- 建設資材:Grupo Argos(コロンビア)、Cementos Argo(コロンビア)、オーウェンス・コーニング(米国)
- 医薬品:グラクソ・スミスクライン(英国)、ロシュ・ホールディング(スイス)
- バイオ:バイオジェン(米国)
- ライフサイエンス:該当なし
- 医療機器・用品:アボット・ラボラトリーズ(米国)
- 消費財:ユニリーバ(オランダ)
- 家庭用品:コルゲート・パーモリーブ(米国)
- 家庭用耐久財:アルチェリッキ(トルコ)
- 食品:タイ・ユニオン(タイ)
- 飲料:タイ・ビバレッジ(タイ)
- アパレル:アディダス(ドイツ)、バーバリー・グループ(英国)、モンクレール(イタリア)
- たばこ:ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(英国)
- 商業用品・サービス:ウェイスト・マネジメント(米国)
- 紙・木材:UPMキュンメネ(フィンランド)
- 容器・包装:BillerudKorsnas(スウェーデン)
- 商社:伊藤忠商事(日本)
- 住宅:住友林業(日本)
- 建設・土木:フェロビアル(スペイン)、現代建設(韓国)
- 不動産:Dexus(オーストラリア)
- 金融サービス・資本市場:UBS(スイス)
- 銀行:ブラジル銀行(ブラジル)、サンタンデール銀行(スペイン)、玉山金控(台湾)
- 保険:アリアンツ(ドイツ)
- ソフトウェア:SAP(ドイツ)
- ITサービス・インターネット:アトス(フランス)
- 通信サービス:KPN(オランダ)、True Corp(タイ)
- 電力:アクシオナ(スペイン)、EDP-ポルトガル電力公社(ポルトガル)、Terna Rete Elettrica Nazionale(イタリア)
- ガス供給:Naturgy(スペイン)
- 公益事業・水道:エンジー(フランス)
- メディア:Telenet(ベルギー)
- 運輸および運送インフラ:ロイヤルメール(英国)
- 航空輸送:エールフランス航空(フランス)
- 総合小売:H&M(スウェーデン)、インディテックス(スペイン)、ウェスファーマーズ(オーストラリア)
- 食品・生活必需品小売:CP All(タイ)
- 飲食・レジャー:Sodexo(フランス)
- 医療サービス:シグナ(米国)
- ホテル・リゾート・クルーズ:メリアホテルズインターナショナル(スペイン)
- カジノ・ゲーム:Star Entertainment(オーストラリア)
- 消費者サービス:該当なし
- 専門サービス:SGS(スイス)
国別数では、米国が9社で首位。2位はタイの8社で昨年からと続き多かった。3位はスペインの7社。韓国と台湾が4社の中、日本は2社のみだった。
シルバー獲得の日本企業
- ANAホールディングス
- 本田技研工業
- コニカミノルタ
- 丸井グループ
- NTTデータ
- 積水ハウス
- 双日
ブロンズ獲得の日本企業
- 日本たばこ産業(JT)
- 三菱ケミカルホールディングス
- NTT
- 野村総合研究所
- NTTドコモ
- オムロン
- リコー
- 積水化学工業
- 凸版印刷
また、前年の調査から大きく改善し業界内上位15%に入った企業には「Industry Mover」のタイトルが付与された。
【評価】The Sustainability Yearbook 2020
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら