欧州証券市場監督局(ESMA)は2月6日、サステナブルファイナンスに関する戦略を公表。同機関の業務にESGを統合する方向性をまとめた。金融監督当局としてのESMAの主業務である「証券市場監督」や「当局監査」「リスク評価」の中にESGリスクを盛り込んでいく。ESMAは、2015年に欧州委員会でサステナブルファイナンス・アクションプランが打ち出されて以降、規制強化検討を続けている。
【参考】【EU】欧州金融監督機構ESAs、企業のショートターミズム訣別のための規制強化提言。欧州委で今後検討(2019年12月23日)
【参考】【EU】欧州議会委員会、欧州監督機構の改革法案可決。金融機関へのESGリスク監督を強化(2019年1月14日)
【参考】【EU】EIOPAとESMA、サステナビリティリスクを組み込む関連EU指令改正検討着手。AIFMD、UCITS、MIFID等(2018年8月12日)
今回の発表では、まず、証券法制の単一ルールブックにおいて、グリーンウォッシングを防止し、投資商品のESG度を投資家が閲覧、比較できるようにすることを位置づける。そのためコスト・ベネフィットを考慮した上で、発行体のESG情報開示ルールを一段と整備していく。そのため、金融サービス・資本市場同盟総局(DG FISMA)を構成する欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)と欧州銀行監督局(EBA)とともに、テクニカル要件の検討を進める。
また、サステナブルファイナンスの分野の新たな金融商品や潮流であるグリーンボンド、ソーシャルボンド、排出量取引、ESG評価、ESG投資ファンド、気候変動リスク・ストレステストに対する分析フレームワークを、加盟国金融当局とともに整備。ESMAが定期発行する「TRV(トレンド・リスク・脆弱性)報告」でも独立した章立てとし、各加盟国からの情報収集と報告を強化する。
加えて、データ制約はあるが、気候変動リスク・ストレステストを含む気候リスク分析もさらに進める。EUタクソノミーの遵守状況の監督も実施していく。
ESMAは、これら新政策を検討するため、2019年に加盟国当局からの専門家を招集した「サステナビリティ協調ネットワーク」を組成。今後、同ネットワークに助言を与えるステークホルダー諮問ワーキンググループも発足させる予定。
【参照ページ】ESMA SETS OUT ITS STRATEGY ON SUSTAINABLE FINANCE
【参照ページ】Strategy on Sustainable Finance
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