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【EU】欧州司法裁、GSKのジェネリック和解問題で英当局を支持。「Pay-for-delay」は違法の可能性あり

 EUの欧州司法裁判所(ECJ)は1月30日、英競争・市場庁(CMA:公正取引委員会に相当)がジェネリック薬品を巡りグラクソ・スミスクラインに罰金を科したことの係争で、CMA側勝訴の判断を下した。

 同案件は、グラクソ・スミスクラインが開発した抗鬱剤「パロキセチン」の特許が1999年に切れた後に、ジェネリック薬品企業がパロキセチンのジェネリック薬を生産したことについて、グラクソ・スミスクラインが二次製造特許を取得していることを理由に反発したことに端を発する。双方の対立では、最終的にグラクソ・スミスクラインとジェネリック薬品5社(Generics UK、Xellia Pharmaceuticals、Alpharma、Actavis UK、Merck)との間で、グラクソ・スミスクラインがジェネリック薬品企業側に5,000万ポンド(約71億円)を支払う代わりに、ジェネリック薬品「セロザット」の市場投入を2004年まで遅らせることで和解が成立した。この和解は「Pay-for-delay」と俗称されている。しかし、この和解を、CMAは、競争法違反と判断。グラクソ・スミスクラインに3,800万ポンド(約54億円)の罰金を命じた。同様に和解に合意した他の企業に対しても700万ポンド(約10億円)の罰金を命じた。

 この判決に対しては、不服とした企業側が、英競争控訴裁判所(CAT)に控訴。CATは、EU法の解釈に関連するとして、2018年3月にECJに判断を仰いだ。そして今回のECJの判断では、「Pay-for-delay」は必ずしも競争法上の障壁と見做されるわけではないが、それにより消費者が享受できた価格低減等の便益が失われていたのであれば、競争法上の障壁と見做されるとの見解を示した。そのため、今回のケースでは、ジェネリック5社側に、どれほど実質的に市場参入の準備があり、問題となった和解行為により実際に市場投入が遅れたのかを精査することが重要であり、CMAがその点を問題視した点については正当性があると結論づけた。

 これにより同案件は、CATでの紛争処理プロセスに戻る。英国は1月31日にEUを離脱しているが、2021年1月1日の移行期間終了までは引き続き英国の案件についても、ECJは裁判管轄権を持つ。

【参照ページ】The Court of Justice clarifies the criteria governing whether a settlement agreement with respect to a dispute between the holder of a pharmaceutical patent and a manufacturer of generic medicines is contrary to EU competition law

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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