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【国際】世界資源消費量は1人当たり平均13t以上。リサイクル率は8.6%。サークルエコノミー調査

 蘭シンクタンクのサークルエコノミーは1月21日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会「ダボス会議」で、資源循環に関するレポートを発表した。人類が消費した資源量は2016年、2017年共に1,000億tを超えた。その一方、リサイクルの割合は2015年の9.1%から直近のデータがある2017年には8.6%に下がり、持続不可能な状況が明らかになっている。

 天然資源の消費量は、1970年の267億tから2017年には920億tへと3.4倍以上の伸びとなった。同時期の世界人口は約2倍になったが、それより遥かに速いスピードで増加している。2017年の資源総消費量は、天然資源にリサイクルした資源86億tを加え、1,006億t。この数値は、地球上のすべての人が平均して年間13t以上の資源を消費したことを示している。

 同年に消費された資源の内、約50%は鉱物類、約10%は金属鉱物類、約15%は化石燃料、約25%が生物由来だった。資源の用途としては、住宅39%、食料21%、各種サービス10%、ヘルスケア9.2%、輸送8.6%、消耗品6.9%、コミュニケーション5.6%となっている。

 これらの内、建物や車両として1年後にも使用されていたのは31%で、廃棄物となったのは32%、分散・飛散が22%、温室効果ガスとして空気に排出されたのが15%。分散・飛散については主目的として消費された後の明確な計測がなされていないという。廃棄物の多くは埋立地や鉱山の堆積物として処理され、一部は水路や海洋に廃棄されている。

 天然資源の急激かつ大幅な増量およびリサイクル率が向上しない背景としては、「経済全体が、既存の資源を有効活用せずに、新たな天然資源の採取・採掘に大きく依存している」「世界人口の増加に対処するため、住宅のストックやインフラ整備、大量の重機等が必要とされている」「製品を使いきることや資源を循環する体制ができていないことに加え、製品や建物等の設計段階でリサイクルを前提としていない」が指摘されている。

 地域別では、世界全体の資源消費の現状分析、課題の特定、提言を、後進国(Build countries)、新興国(Grow countries)、先進国(Shift countries)の3グループに分けて行っている。

 サハラ以南のアフリカ、インド、バングラディシュ、エチオピア、ナイジェリア、パキスタン、フィリピンを含む、後進国の国々は、1人当たりの資源フットプリントは低く、経済活動の影響は地球の再生能力の範囲内で収まっている。その一方で、医療や教育のニューズを十分に満たしていない場合が多く、それらを充実させることが課題となっている。今後の発展に向けて、ヘルスケア施設や輸送手段の設計を規格化する等、循環を前提とした設計がキーとなる。

 中国、インドネシア、ベトナム、ブラジル、メキシコを含む新興国は、すでにある程度の経済成長を達成し、先進国をはるかに超える工業化を進めている国も存在する。人びとの生活レベルも向上しつつあるが、その一方で、住宅やインフラ整備と工業製品の製造等に向けた資源の消費量は極めて大きい。例えば中国は2003年以降2年毎に米国が20世紀全体で消費したより多くのセメントを消費しており、現在も世界のセメント消費量の約半分を消費している。一部に再生可能エネルギー促進等の動きが見られるが、全体としては地球環境への多大な負荷が課題となっている。循環に向けたインフラや建物の設計そして廃棄物処理の専門家の育成が効果的だ。

 日本、オーストラリア、EU加盟国、米国を含む先進国は、他の2グループと比較して生活レベルが高く、GDPや人口の増加が現状維持または減少しているのが特徴。その一方で、国民1人当たりの資源消費量は、後進国、新興国に比べそれぞれ10倍および2.5倍となっており、廃棄量も新興国に近い。世界人口の20%に相当する先進国は、世界の68%の輸出入割合を占め、他の2グループが資源の消費や廃棄を担っている側面もある。一部の国はループエコノミー、廃棄物や汚染への取り組みを先導しているが、エネルギー源について大きな課題を抱えている国もある。税制度の見直しにより環境への負荷を軽減するのも有効と考えられる。

【参照ページ】THE CIRCULARITY GAP REPORT 2020

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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