世界経済フォーラム(WEF)は1月15日、1月21日から開催される年次総会(通称ダボス会議)に向け、「グローバルリスク報告書2020」を発表した。世界経済フォーラムは毎年ダボス会議のタイミングに合わせてこの「グローバルリスク報告書」を発表しており今回が15回目。
報告書の作成では、まず世界経済フォーラムの専門家メンバー約1,000名に対し、アンケート調査「Global Risks Perception Survey(GPRS)」を実施し、その結果をもとに集計を行っている。調査票には、40のリスクが挙げられており、それぞれのリスクについて今後10年での発生可能性と負のインパクトの2つの観点について回答が求められる。集計と分析はマーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーとチューリッヒ保険グループが担当している。
今回の報告書で最も発生可能性が高いとされたリスク
- 異常気象
- 気候アクションの失敗
- 自然災害
- 生物多様性の損失
- 人為的環境破壊
今回の報告書で最も負のインパクトが大きいとされたリスク
- 気候アクションの失敗
- 大量破壊兵器
- 生物多様性の損失
- 異常気象
- 水の危機
発生可能性に関するランキングでは、「異常気象」が4年連続で1位。さらに昨年5位の「気候変動緩和・適応への失敗」が昨年と同様2位となり、3位の「自然災害」とあわせ、気候変動リスクが上位3位を独占した。さらに、4位に「生物多様性の損失」、5位に「人為的環境破壊」が入り、上位5位が全て環境関連の課題が占める結果となった。
一方、インパクトに関するランキングでは、5位までの顔ぶれは昨年度同じ。但し、3年連続でトップ「大量破壊兵器」を、今回は「気候アクションへの失敗」が抜き、初めて首位となった。加えて、「生物多様性の損失」が急上昇し3位となった。
2010年までは、グローバルリスクの中でも経済や金融リスクが上位をほぼ独占していたが、2011年以降はそれ以上に環境リスクが上位を占めるようになってきた。今回も金融危機等の経済リスクは順位が相対的に低かった。一方で、サイバーアタックは、環境課題について高いリスク認識がなされた。
【レポート】The Global Risks Report 2020
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