スイス連邦工科大学チューリッヒ校のクラウザー研究所は1月7日、世界初となる気候変動の防止に必要な植樹量を明らかにした研究結果を科学論文誌に発表した。同研究所は、現実的な目標設定のもと、適切な資源配分や進捗管理を行うことを目的に、植林による気候変動対策を分析。人間活動に必要な都市部や耕地を除き、世界のどこで新規の植林が可能で、どれだけの二酸化炭素を吸収できるかを算出した。
同研究結果によると、現在の気候条件下で植林に適した土地は、世界全体で約44億ヘクタール。そのうち28億ヘクタールは、すでに森林となっている。残り16億ヘクタールあるが、人間活動に必要な土地を差し引くと、森林再生に適した土地は9億ヘクタールと分析した。これは米国の国土面積に相当するが、同規模で森林再生が行われた場合、新規に植樹された森林は、人間活動による排出量の3分の2に当たる二酸化炭素2,050億tを吸収できるとした。具体的には、森林再生に最も適した土地として、ロシア1.5億ヘクタール、米国1億ヘクタール、カナダ7,840万ヘクタール、オーストラリア5,800万ヘクタール、ブラジル4,970万ヘクタール、中国4,020万と見積もった。
(出所)Crowther Lab / ETH Zurich
また同研究は、気温上昇によりシベリア等の永久凍土が融解することで、森林被覆向上を期待する多くの気候変動モデルは誤っていると指摘。同地域による森林被覆は30から40%に過ぎない一方、気温上昇により失われる熱帯雨林の森林被覆は90から100%と高いとして警鐘を鳴らした。
今回発表の研究結果は、同研究所の公式サイト上のツールで確認可能。地球上のあらゆる箇所について、どれだけの植林可能性があり、どれだけの二酸化炭素吸収量が見込めるかを算出できる。また、同ツールでは、森林保護組織のリストも提供するとした。
【参照ページ】The global tree restoration potential
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