グーグルの国際関係ヘッドを務めていたロス・ラジュネス氏が、1月2日に同社を退職。インターネットメディアで退職した理由を明かし、グーグルが中国ビジネス問題や社内での人権問題で残念な方向に向かっていると吐露。グーグルの社是であった「Don't be evil(邪悪になるな)」が損なわれていると懸念を評した。
ラジュネス氏は2008年に入社。2010年人はアジア公共政策ヘッドに就任し、2010年にグーグルが中国政府に対し検閲に協力しない方針を固めたまさにその部門を担当していた。2012年には政府、国際機関、NGOとの調整・交渉を担当する国際機関ヘッドに就任。インターネット・ガバナンス、表現の自由の問題とともに。最近では人権問題も担当していた。
同氏は、同社にとって容認できない人権侵害があるとの認識で、2010年に中国政府からの検閲協力要請を断り、中国での事業ができなくなったことを高く評価している。当時も、グーグルマップやアンドロイド事業の責任者は、巨大な中国市場での事業を継続することを求めていたが、それでも粘り強く説得していったという。しかし近年、再び中国市場への進出を目指す動きが社内から出、中国向けの検閲協力型検索サービス「Dragonfly」を開発する話や、それ以外にも多数の動きがあることを受け、「Don't be evil」が損なわれていると伝えた。その後、「Dragonfly」の開発は、米連邦議会から追及され、中止されている。
また、社内での人権問題についても、セクハラや人種差別、LGBT差別が起こりつつも、ラジュネス氏の部門では経営陣や人事に対応を促していったが、芳しい対応がなされなかったことに失望している様子も見せた。同部門では、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)に基づいた全社人権プログラムの策定や人権インパクト評価の実施等を提案したが、最終的に経営陣から却下されてしまったという。人権侵害観点で懸念のあるサウジアラビアで、クラウドサービスを売り込んでいることにも問題があると言及した。
ラジュネス氏は、グーグルが変節していった理由について、創業者であるセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジが経営から離れていったことや、製品が検索サービスから、直接的に社会監視が可能なクラウドサービスに移り、より倫理が問われるようになってきたことを挙げた。
【参照ページ】I Was Google’s Head of International Relations. Here’s Why I Left.
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