北極海航路の商業海運航行数が2019年、過去最多となった。気候変動により北極圏の氷が融解することで、これまで活用が難しった北極海航路を活用する動きが広がっている。一方、北極圏の海洋汚染や生態系破壊を懸念する動きも企業の中で広がっている。
カナダ環境・気候変動省によると、2019年のカナダ管轄北極海航路航行数は147隻368回に上った。カナダの経済メディアFinancial Postによると、隻数は2018年からでも17.6%増、10年前の2009年と比べると70%も増えたという。
(出所)カナダ連邦政府
北極圏の氷が解けてきたことで、これまで僻地であったカナダ・ヌナブト準州等は、経済発展に湧いている。北極海航路が開かれ、商業的なアクセスが進んでいるだけでなく、地下資源の開発も容易となり、金や原油・ガスの採掘の期待が高まっている。
一方、ナイキと国際環境NGOのOcean Conservancyは10月23日、北極海航路を使って自社製品を海上輸送することを禁止する「北極海企業海運誓約」を発表。現在12社が加盟している。他の加盟企業は、GAP、H&M、フィリップス・バン・ヒューゼン(PVH)、コロンビア、ベストセラー、Li & Fung(利豊)、ASOSの他、台湾の長栄海運(Evergreen Line)、独ハパックロイド、仏CMA CGM、スイスMSCの海運世界大手を加えた12社。署名している海運企業は、同航路の利用した海運サービスの販売を自主的に禁止する。
同誓約は、北極海航路により、重油汚染や重油エネルギーからの排気、排水による環境汚染を特に懸念。また、加盟企業は、同誓約への加盟を拒む企業がいることを想定し、北極圏での重油使用を禁止する等の予防措置を推進することも約束した。
【参照ページ】Take the Arctic Corporate Shipping Pledge
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