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【アメリカ】モルガン・スタンレー、再エネの大規模普及で石炭火力発電70GWが経済的リスクと分析

 金融世界大手米モルガン・スタンレーは12月10日、リサーチレポート発表。米国で再生可能エネルギー普及の第2波が来ており、石炭火力発電所70GW分が経済的リスクに晒されると分析した。同予測は、すでに停止予定の石炭火力発電約24GWを除外しており、既設の発電所に多くの影響が出ると見立てた。

 今回の分析は、5つのシナリオを用意。そのうち起こる可能性の高い3シナリオで、石炭火力発電所の総発電コストを算出し、経済競争力を評価した。「ベースケースシナリオ」では、2030年までに石炭火力発電が米国の総電源構成に占める割合は、2018年の27%から8%にまで減少し、設備容量約70GWの石炭火力発電所がリスクに晒される見通し。そのとき風力発電所と太陽光発電所が電源構成比は2018年の9%から30%にまで高まると予測した。さらに、炭素価格が1t当たり40米ドル(約4,400円)となるシナリオでは、192GWの石炭火力発電所が経済的リスクに直面するとした。

 地域別では、米国中西部が最も石炭火力発電所数が多く、再生可能エネルギーの機会が最も大きい地域と指摘した。2024年までの風力発電の平準化された電力コストは20米ドル/MWhと、現在の石炭火力発電の平均電力コスト30米ドル/MWhよりも競争力を持つと分析。「ベースケースシナリオ」では、同地域の設備容量34GWの石炭火力発電は、2030年までにリスクに晒され、「炭素価格が1tあたり40米ドルとなるシナリオ」では、リスクを負う発電所がにまで拡大する可能性があるとした。

 その他、太陽光発電市場が好調な米国南東部も、中西部に次いでエネルギー移行の可能性を見込む。同地域の太陽光発電の平準化コストは、投資税控除後でも30米ドル/MWhと低く、石炭の平均総発電コスト41/MWhをはるかに下回るとした。「ベースケースシナリオ」では、2030年までに設備容量21GWの石炭火力発電所がリスクに晒されると予測。「炭素価格が1tあたり40米ドルとなるシナリオ」では約57GWがリスクに晒されるとした。

 一方、同社は公的セクターの意思決定の予測は困難だと言及。再生可能エネルギー事業の展開に向けては、土地取得などのハードルや、天然ガスインフラの急速な成長等、不確実性が高い。石炭火力発電や天然ガスの採掘や水圧破砕法への規制強化や、発電所建設に対する州単位での反発等も想定される。

 エネルギー分野への機関投資家は、電力事業者のESG活動に対する関心が非常に高い。こうしたクリーンエネルギーの要請を受け、同社経営陣も再生可能エネルギーの経済性や進化について議論していると強調した。

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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