金融庁は12月27日、日本郵政、日本郵便、かんぽ生命の3社に対する行政処分を発表した。かんぽ生命と日本郵便が、顧客に不適正な保険販売を行っていたことに伴う措置。日本郵政を所管する総務省も12月27日、日本郵便、かんぽ生命に対する監督上の命令を発表した。
金融庁の処分では、営業目標として乗換契約を含めた新規契約を過度に重視したKPI設定や、具体的な実現可能性や合理性を欠いた営業目標設定を問題視。さらにリスクマネジメントとしても、第1線の現場レベルでのコンプライアンスを欠いた組織風土、第二線の体制の未整備を指摘するとともに、顧客からの苦情やメディアの報道で問題を把握していたにもかかわらず抜本的な改善を行わなかったことをガバナンスの機能不全とした。日本郵政に対しては、グループとしてのガバナンス不全やコンプライアンス不徹底の責任を追及した。
結果、金融庁は、日本郵便とかんぽ生命が2020年1月1日から3月31日まで保険を販売する業務停止命令を出した。但し、顧客からの自発的な意思表示を受けて行うものは可能。また、業務改善命令として、経営責任、風土、営業態勢の整備するよう命じた。3社は業務改善を2020年1月31日までに提出する義務を負い、当該計画の実施完了までの間、3ヶ月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告することも命じられた。
総務省の監督上の命令でも、日本郵便、かんぽ生命に対し、コンプライアンス、ガバナンス、経営責任の明確化等の改善計画を2020年1月31日までに提出することを命じた。
日本郵政グループは同日、日本郵政の長門正貢・取締役兼代表執行役社長、鈴木康雄・取締役兼代表執行役上級副社長、日本郵便の高橋亨・取締役会長、横山邦男・代表取締役社長、かんぽ生命の植平光彦・取締役兼代表執行役社長の5人がグループ役職を辞任すると発表した。後任の日本郵政社長には、増田寛也・元総務大臣が、常務執行役として、志摩俊臣・総務・人事部門副担当が昇格するとともに、国土交通省建設流通政策審議官の林俊行氏が就任する。日本郵便の後任社長には、日本郵政の布川和秀専務執行役が、かんぽ生命の後任社長には、千田哲也代表執行役副社長が就く。
【参照ページ】日本郵政グループに対する行政処分について
【参照ページ】かんぽ生命保険の不適正募集に係る一連の問題に関する監督上の命令等
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