インド信用格付大手ICRAは12月18日、石炭火力発電セクターの信用格付について、「安定」から「ネガティブ」に格下げたと発表した。2019年1月から8月までの間6.4%だった電力需要成長率は、天候不順を受け、10月には前年比12.9%減少、11月には4.3%減少した。電力需要成長率の鈍化に加え、水力や原子力、再生可能エネルギー需要が増加したため、2020年度の成長率は、1.2%に低下すると予想した。
インドの石炭火力発電事業の環境は厳しい。通常、石炭火力発電所の稼働率は計画上高く想定されているが、電力需要の鈍化とその他の電源の設備容量が増加しているため、2019年度は61%、2020年度は59%にまで落ち込むという。独立系発電事業者(IPP)による石炭火力発電事業にとって事業リスク・ヘッジ策となる電力会社との長期電力購入契約(PPA)の締結も進んでいない。
金融行政としても、インド準備銀行(RBI)は、2015年から資産査定の厳格化に取り組み、「不良資産処理」を進めるため、不良債権への貸倒引当金の計上や、デットエクイティスワップを要請しているが、不良資産処理が完了した石炭火力発電所は対象設備容量40GWのうち10%程度しかない。信用リスクもましている。
こうした事態を受け、8月には独立発電事業者に対する信用状(LC)発布や前払いが義務化されたが、依然として、不良資産処理の短期的な改善は困難な見通し。一方、PPAが不要な設備容量15GW程度の石炭火力発電所については、今後も好調な見通しと分析した。
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