国連環境計画(UNEP)の国際資源パネル(IRP)は12月11日、G7からの要求に応じ、各国政府関係者向けに、自動車と不動産の省エネと気候変動緩和の関係を分析した包括的レポートを発表した。G7諸国が両分野での省エネに取り組むことで2060年までに2016年比で二酸化炭素排出量を25Gt削減できるとした。
同パネルは、UNEPにより2007年に設立。政府、国際機関等から専門家約30人で運営委員会を構成し、事務局をUNEPが務めている。
IRPの分析によると、1995年から2015年の間に、金属、木材、資源、プラスチック生産からの二酸化炭素排出量は2倍以上に増加し、世界の排出量全体の25%を占めるに至った。今後、省エネを進めなければ、世界の平均気温を1.5℃上昇未満に抑えることはできないという。
同レポートは、現存する技術を最大限活用すれば、2050年までにG7で個人住宅からの二酸化炭素排出量を1.7億t削減でき、同様にインドでも2.7億t、中国でも3.5億t削減できると試算した。さらに、自動車のライフサイクル全体では、省エネ戦略を機能させれば、G7と中国、インドで2050年に二酸化炭素排出量を4.5億t減らすことができるという。
そのためUNEPは、製品の長寿命化、部品の再利用、資源使用量削減、ライドシェア等での資源の有効活用を真剣に考えるようG7諸国に促した。カープール(相乗り)やカーシェアのようにシェアリング・エコノミーを進め、脱SUV車を実施することで、G7では2050年に二酸化炭素排出量を最大70%、中国でも60%、インドでも50%削減できるとした。G7と中国、インドの自動車移動の4分の1をライドシェアにするだけで、20%の排出量削減効果がある。
上記の資源効率施策は、電気自動車やハイブリッド車に切り替える以上の削減効果がある。UNEPは、各国での政策推進による自動車の電動化だけでなく、省資源も進めるよう呼びかけた。
【参照ページ】Materials used to build cars and homes key to tackling global warming
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